Will-Can-Mustとは何か|なぜモヤモヤが生まれるのか

キャリアの土台・考え方

これまで、上司・部下間のキャリア面談において、
Will-Can-Mustで問われたときのモヤモヤについて整理してきました。👉 こちら

では、なぜこのようなモヤモヤが生まれるのでしょうか。

ここでは、このフレームワークの成立ちを整理し、
モヤモヤが生じる構造を解説。

これを解消するにはどうしたら良いのか、考えてみたいと思います。

Will-Can-Mustは本来どんな問いだったのか。

エドガー・シャインは、キャリアを考える際、
仕事における自己イメージの確立が重要だと考えました。

それは、
「自分にできること(能力・才能)」
「自分がやりたいこと(動機・欲求)」
「自分が意味を感じること(価値観)」
という3つの要素から成り立つものです。

これが、「シャインの3つの問い」となったと思われます。

  • 自分にできることは何か。自分の得意なことは何か。
  • 自分は何がやりたいのか。
  • 自分は何をやることに価値を感じるか。

これが転じて、日本で使われる
Will-Can-Must というフレームワークになったようです。

ここで重要なことは、

本来、内省のためのフレームワークであったこと
よって、主語は自分、I will / I can / I must なのです。

なぜモヤモヤが生まれるのか

上司と部下のキャリア面談において、Will-Can-Mustが用いられたとき、
どちらもモヤモヤしてしまうのは、双方が前提としていることが違うからです。

例えば、

  • Will について、上司は「会社での目標を語れることは当然だ」と思い、部下は「上司に青臭い夢を語るのなんて恥ずかしい」と思っている。飲み会の話題を会議室に持ち込んだ途端、会話は止まるのです。
    👉 Will のモヤモヤ
  • Can について、上司は「新しいことを学ぶ姿勢を見たい」と思い、部下は「これまでずっと学んできたし、新技術へ対応するため学び続けていく」と思っている。技術者にとっての学びは「常に刷新していくもの」であり、積み上がるものではないのです。
    👉 Can のモヤモヤ
  • Must について、上司は「会社からの要求に応えよ」と思い、部下は「自身の価値観に基づき、専門能力を活かしている」と思っている。Must の主語が違うのです。
    👉 Must のモヤモヤ

つまり、同じ問いに答えているようでいて、
実はそれぞれが違う前提で話しているのです。

Must は最も難しい

この中でも特に概念的で、つかみどころがないのが Must です。

まず、価値観(Value)の内省であったのに、Must と置き換えられたことで、
主語が変わり、意味が広がってしまうからです。

主語が自分であれば、個人の価値観になりますが、
主語が会社であれば、方針になるのです。

また、「同僚と価値観を語る」のと、
「上司・部下で価値観を語る」のは、明らかに意味合いが異なります。
関係性により、この言葉の意味が変わってしまうのです。

そのため、Mustは「正しく答える」ことが難しく、
違和感として残りやすいのかもしれません。

では、どう考えればいいのか

会社での日常業務において、
私たちは、わざわざ前提条件を確認することはありません。
そんなことをしていれば、業務は滞ってしまいますし、
効率重視の中、会社が生き残っていけません。

しかし、キャリア面談においては、
言葉の意味の掛け違いがおきているのです。

これを放置して話を進めるのか、
一つひとつ言葉の意味を確かめながら進むのか。

これは容易なことではありません。
日常業務の進め方とは、正反対だからです。

上司側には「部下の言葉を裁かずに聴く」、
部下側には「上司の思いも察しながら、自己開示する」
ことが求められるかもしれません。

それは単に部下のためではなく、
持続的な会社の成長のエンジンとなります。

そしてその問いは、
誰かに与えられるものではなく、
対話の中で見えてくるものなのかもしれません。


もしかすると、個人にとってキャリアとは
「正しく答えるもの」ではなく、
自分なりに問い続けるものなのかもしれません。

こうしたモヤモヤは、
一人で整理するのが難しいこともあります。

必要であれば、言葉にするお手伝いもできます。

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また、組織にとってのキャリア開発とは、
単なる問題解決ではなく、
信頼関係を醸成し、
チーム力を高めるためのものなのかもしれません。

そこに必要な対話のスキルは、
容易に習得できるものではありません。

必要であれば、対話力を上げるお手伝いもできます。

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