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  3. Must は後においておけ ~若いうちは得意なことから始めよう~
このコラムでは、キャリアを検討する際に良く用いられる、Will-Can-Must のフレームワークにおいて、Must にとらわれず、Canから始めることを薦めます。
対象:、所要:3分

キャリアを検討する際、Will-Can-Mustというフレームワークが良く用いられます。「Will : 何がしたいか?」「Can : 何が出来るか?」「Must : 何をすべきか?」この3つの観点で棚卸しを実施し、3つが重なる仕事(☆印)ができれば幸せだよね… という考え方です。自分がやりたい仕事で、出来ること、求められることなら、サイコーですよね。

エドガー・シャイン先生の”3つの問い”、「何が得意か?」「何をやりたいか?」「何をやっているときに意味を感じ、社会に役立っていると実感できるか?」にも通じます。

私は前職で人財育成を担当していましたので、このフレームワークを用いて話をする機会が何度もありました。コンプラ意識がとても高く、「△△してはいけない」、「〇〇すべきだ」という会社側からのお達しがとても強い社風でした。そのため、このフレームワークを持ち出すと「Will(夢)とか、Can(特技)とか、甘っちょろいことを言うな。会社からのMust(要求)に答えるのが仕事だろ?」と、猛烈な反発を食らいました(笑)。

製造業でありましたので、会社の方針、ルールが徹底されており、Must 第一主義は致し方ないことなのかも知れません。しかしそこは研究部門でしたので、従来の慣習を打ち破るような強い思い(Will)や、社会的使命感(Must)に基づき、個々の能力(Can)を高めていきましょうと鼓舞していたのです(コラム「Will が無ければダメなのか?」)。

しかし、その活動を推進するほど、こんな状況で「夢(Will)や、学び直し(Can)を強要するな!」という声なき声に悩まされることになりました。とにもかくにも、会社からの Must が支配する職場だったのです。

私は自己主張&反骨心が強い性格なので Will が第一。そのために必要な Can であれば、何とか習得しようとします。Must については人任せにするのがとても嫌なので、自分なりの使命感に置き換えてしまいます。あくまで「自分として何をすべきか?」でないと動けないからです。

さて思い起こしてみれば、自身にとっての Must が明確になってきたのは、企画部署に転身した40代前半のことでした。部署の戦略を立案する際は、会社方針との関係が重要であることは言うまでもありませんが、私は” Must を自分事として語ること”に拘っていました。なぜなら会社方針はそもそも曖昧なものですから、それをブレークダウンしないと戦術に結び付いてこないからです。

しかし、それ以前は Must など意識もせず、自分がやりたいこと(Will)を主張し続けて研究していたように思います。必要とされる(Must)とか、できるかどうか(Can)とか、どうでも良かったのです。若さ故の無鉄砲さですね。でも、それで良かったように思うのです。 

今の世の中、情報が溢れていますから、無鉄砲な思いはすぐに挫かれてしまいます。「あぁ、もうやられているんだ…」、「他社はもっと進んでいる。今からやっても勝ち目はない」と… 多くの若者が自己肯定感を持てず、夢を描けなくても致し方ありません。そんな若者に Will や、Must を強要するのはどうかと思うのです。

そのような場合、お薦めするのは「Can=出来る事、得意なこと」を明確にすること。どんな人にも得手不得手はあるのですが、着目すべきは”得意なこと=強み”です。「何をやってもダメ。得意なことなんて無い。」という人は、身近な人に貴方の良さを挙げてもらいましょう。そして、その特性がどんな時に発揮されているのか、具体的なエピソードを書き出してみましょう。対話しながら行うことがポイントです。”貴方の良さ”を語ることが出来る友達は大事にしましょうね… キャリアカウンセリングを受けることも有効です。

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話し相手が居ないなら、Strengths Finder を受けてみましょう。数年でも仕事の経験がある方ならば、業務遂行において良い方向に出やすい資質(コンピテンシー)が明確になります。34の資質については、「どんなときに、それが発揮されるか?」という事例が書いてあるので、「そういえば、似たようなことがあったなあ…」と気が付くことが出来るのです。そして、その資質を活かすには、どんな職種・役割に就くのが良いか、ヒントが得られるのです。

若いうち、自分の Must(使命)が何であるか?なんて分からないものです。そんなときは、Must は後においておき、Can(得意なこと)の棚卸しから始めてみれば良い。私はそのように考えています。□

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