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  3. コーヒーの海にどっぷり浸かりましょう ~カップの意味を考えよう~
このコラムは、カウンセリングプロセスにおいて、「クライエントの内面世界にどっぷり浸かること」の大切さについて述べています。
対象: 、所要:3分

國分康孝先生が提唱されたコーヒーカップモデル。カウンセリングのプロセスを面接の導入期、面接中期、面接後期に分け、言語的スキルと非言語的スキルを使い分けながら、カウンセリングを進める様子を図式化したものです(図1、出典)。

図1 コーヒーカップ方式の3本柱
(出典:國分康孝、「カウンセリングの原理」、誠信書房(1996) p.127)

面談プロセスの汎用的なモデルとして、とても理解しやすいものです。また各段階に必要な技術として、「導入期:言語的スキル」、「面接中期:非言語的スキル」、「面接後期:リファーなどの6つの技法」が示されています。

図2 誤った理解

しかしキャリコン受験生の頃の私は、これを図2のように理解していたように思います。すなわち「信頼関係を作って、問題をつかみ、処置するのは当たり前だよね…」と。一般的な問題解決のプロセスの前段に「信頼関係構築」を配置しただけであると…

しかし、國分先生の図には「コーヒーカップの深浅は問題によりけりである。U型もあればu型もある。」と書かれているんですね。カップの深さは何かを暗示していますが、当時の私は知る由もありません。

最近、諸富祥彦先生の著書「カウンセラー、コーチ、キャリアコンサルタントのための自己探求カウンセリング入門」を拝読しました。諸富先生はカウンセリングの基本プロセスとして図3を示しておられます。横軸はカウンセリングのプロセス、縦軸は外界(現実世界)ー内界(内面世界)としており、フェイズ②、③ではクライエントの内的世界にどっぷりと浸かることが必要としています。「あ、これ… コーヒーカップだ…」 そう、國分先生は諸富先生のお師匠さんなのです。

図3 カウンセリングの基本プロセス(出典

こう考えると、図2のような理解では「コーヒーの海(図3のグレーハッチ部分)に浸かっていないこと」になります。カウンセラーは現実世界に身を置いたまま、相談者の内面世界に飛び込まず、非言語的情報に気付きもせず、④アクションステップ(コーヒーカップモデルにおける処置ステップ)に移ってしまっていることになるのです。正に”浅はかな理解”だったのです。

これをJCDAの経験代謝サイクルに照らせば、「意味の出現」もしていないうちに「意味の実現」を図ろうとするようなものであり、避けなければいけません。

信頼関係が構築出来たら、相談者と共にコーヒーを飲んで、その世界をじっくり味わおう。コーヒーを飲み終わったら、相談者と一緒に、次に行うことを考えよう。

こんなイメージでカウンセリング出来たなら、最高ですね。いろいろなカウンセリング技法を改めて学ぶと、新たな気付きがあるものですね。□

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