新シリーズ「カウンセリングのすすめ」を始めます。世にカウンセラーと呼ばれる人は星の数ほど居て、それぞれ専門性を持っています。どんな信条を持ち、どんな相談案件に強い人か分からなければ、相談者はカウンセラーを選びようがないと思います。今回は、カウンセリングを受けることの一般的なメリットをお伝えすると共に、私がどんな点に拘ってカウンセリングに臨んでいるのかをお伝えします。
厚生労働省のHPには、カウンセリングの効果として以下のような項目が上げられています。
- 話をしっかり聞いてもらえる
- 自分の考え方のくせや意外な長所に気づくことができる
- 今抱えている問題を整理できる
- 考え方を今の状況に適したものに切り換えられる
- 人とうまくつきあうための自分なりの方法を見つけられる
- 人として成長できる
出典:厚生労働省HP、「カウンセリングについて カウンセリングの概要やメリットとは」
これは心理カウンセリングのメリットとして上げられていることですが、キャリアコンサルタントとしての、私のカウンセリングも、これを目指しているといっても過言ではありません(ココ)。そこで各項目について順番に説明します。なお一項については「聞く」を「聴く」と読み替えています。
話をしっかり聴いてもらえる
「あなたは普段、他人に話を聴いてもらっていますか?」
「ああ、大丈夫。家族間でも、しっかり意思疎通は図れている。職場でも、上司・部下としっかりコミュニケーションできていて、仕事は進んでいるよ!」と答えられるでしょうか?
ならばお訊ねします。「意思疎通とは何ですか?」「仕事が進んでいれば、職場のコミュニケーションが出来ていると言えるのでしょうか?
実は家庭における意思疎通、仕事におけるコミュニケーションって、「私はこう思う」→「それは、いいね(良くないね)」→「じゃあ、そうするね(こう変えるね)」という、判断の繰り返しで成り立っているのです。ここでの”きく”は”聞く”です。
カウンセラーが行う”きく”は”聴く”。判断をせずに聴くのです。「私はこう思う」→「あなたはそう思うんですね」の繰り返し。良いも悪いも判断しません。カウンセラーは淡々と伝え返ししながら、相談者が発する言葉やニュアンス、表情等を全力で観察しています。相談者は、普段の会話と違って否定も肯定もされないので、「しゃべりたいこと」をどんどん話します。カウンセラーは時に質問しながら、どんどん深く話を聴いていきます。そのうち、相談者は「なぜ、今日ここで、これを話したかったのか? なぜ悩んでいたのか?」に自ら気付いていきます。それがカウンセリングです。
「何だ?それだけ?」… 「そう、それだけ」なのです。なのに相談者はスッキリとした表情になって帰って行かれるのです。これが「しっかり話を聴いてもらえる」ということです。
自分の考え方のくせや意外な長所に気づくことができる
カウンセリング中、カウンセラーは伝え返しをするだけではありません。相談者が発した言葉に対し、疑問や違和感を持ったのなら、質問をします。相談者がそれを言語化したのなら、カウンセラーは、それを否定も肯定もすることなく伝え返します。するとどうでしょう? そのやり取りから、相談者は「自分の考え方」に気付いていくのです。
喩えるなら、”やまびこ”として返ってきた自分の声を聴いて、それに呼応しているような感じです。その考え方に、偏り(くせ)があったのか?についても、自ら気付いていきます。
また、自分の長所なんて、控えめな日本人は自ら口に出すことをしません。しかし、カウンセラーは他人の長所を探し出すプロです。「それって、あなたの良いところですよね?」と具体的な言葉として返すのです。その”こだま”は相談者の中で響き、自己肯定感が高まっていくのです。無論、短所は短所として受け容れることができるように支援します。”ありのまま”を受け容れられるようにしていくのです。
今抱えている問題を整理できる
「何を相談したいのか?」初めから明確に伝えられる方はおりません。「今日は~について、アドバイスが欲しくて相談に来ました!」と理路整然と語る方でも、話が進むうち、本当のお悩み(主訴と言います)は全く違うところにあった… なんてことはよく在ります。大抵、頭の中がごちゃごちゃと散らかってしまったので、相談に来るのです。
話すことによって、問題点が整理されること… そんな体験は誰しもお持ちでしょう。私が一方的にしゃべり、相談相手はただただ聴いているだけだったのに、話し終えたらスッキリしていた… 問題が整理されていたという経験はありますよね。
カウンセラーは相談者が語る物語を白いキャンバスに描き、それを整理しながら聴いています。時に細部を聴き、時に俯瞰的に聴き、再現された経験を見ていきます。その絵を、相談者と共に視ることによって問題点が浮かび上がってくるのです。相談者は、その絵を見て、自ら問題点に気付くのです。
考え方を今の状況に適したものに切り換えられる
相談者は、今の状況を何とかしたくて相談に来ます。カウンセリングを進めるうち、どこに問題があり、どのように対応すれば問題が解決するのか? 自ら気付いていきます。
仏教では「この世のあらゆる事象に良いも悪いも無い」と捉えます。「良いか悪いか」は、それを見る人の眼鏡次第なのです。人間誰しも色眼鏡で世界を見ており、それ故、悩みが生じているのです。カウンセリングを受けると、自分が現状をどのような色眼鏡で見ていたのか? 考え方のクセに気付くことが出来ます。それに気が付いたのなら、「今の状況に適した」眼鏡にかけ代えればいいのです。
カウンセラーは「眼鏡を掛けていたこと」に気付かせるプロです。
人とうまくつきあうための自分なりの方法を見つけられる
アドラー曰く、「全ての悩みは人間関係」です。職場で家庭で、他人とうまくつきあえなくて、多くの人が相談に来るのです。他人と上手くつきあうのは、「自分が掛けていた色眼鏡に気付くこと」だったり、「あえて見ないようにする、反応しないようにする」ことが大切です。前者については既に述べましたので、後者について解説しましょう。
カウンセリングで行われるのは、「経験の再現」です。悩みに至るきっかけとなった経験を追体験してもらいます。それはあたかも、「怖い思いをした”おばけ屋敷”に、もう一度入る」ようなものです。しかし、一人で入ってこいと言う訳ではありません。カウンセラーは相談者に寄り添い、お化け屋敷に同行します。カウンセラーは、どんなおばけが出てくるのか知りませんので、実は怖いのです。しかし懐中電灯を持っています。おばけが出たなら、それを照らし、おばけの正体を相談者と共にありありと視ます。
おばけの正体を見極められたら、屋敷をゆっくり後にします。相談者は、おばけの正体をありありと見たので、もう対応方法が分かっているのです。そのおばけは、遊園地のバイトの兄ちゃんだったこと、頭から滴る血はトマトケチャップだったことを知っているのです。もう、怖がる必要はなく、反応しなくていいのです。
人として成長できる
う~ん、これはかなり大上段に出ましたね~ 「稲田のカウンセリングを受けると、人として成長できる」などとは、よう言わんです。「相談者である、あなたは必ず成長します!」なんて言うと、怪しい宗教みたいです。
けれども、相談者であるあなたが「今回受けたカウンセリングで、悩みは解消されたし、人として成長したかも…」と思ってもらえるよう、最大限努力していることは確かです。「自己肯定感を高め、自律的なキャリアを歩めるように支援したい!」とは思っていますが、そのような結果になるかどうかは、相談者の方が「自ら気付くか否か」によるのです。
何だか元も子もないですが、「結局、自分ではどうにもできないけれど、今やれることを全力でやる!」みたいな、特殊なメンタリティを持って仕事をしている… それがカウンセラーと言ったら言い過ぎでしょうか? 諸行無常・諸法無我・一切皆苦なんです。
以上、6つのメリットについて、「へえ、そうなんだ… だったら話を聴いてもらえないかなあ」という方は、お気軽にご連絡下さい。直ぐにカウンセリングを強要したりしません。少しやり取りをして、興味をもっていただけたなら、「初回の無料カウンセリング」をしましょう。どうぞ宜しくお願い致します。□
~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~
- その(2) 私の得意不得意
- その(3) 身体の不具合が出る前に
- その(4) 自分で自分を大切にし、センサの感度を上げる
- その(5) 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合
- その(6) 聴いてもらう嬉しさを知ろう
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