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  3. 対流のないバスタブ ~上だけ熱くなってはいないか?~
本コラムでは、昭和のバスタブと風土醸成活動について述べます。
所要:3分

昭和の時代、実家の風呂はバスタブにガス湯沸かし器を連結したタイプでした。まずは水道の蛇口をひねり、バスタブに適量の水を張って、ガス湯沸かし器に着火。バスタブ側面に設けられた取水口を通った水が湯沸かし器で加熱され、取水口より僅か高い位置にある吐出口から熱湯が出てくる… そんな構造になっていました(下図)。

するとどうなるか? 熱い湯は張られた水の表面を漂います。強制的に循環されている訳ではないので、静かに静かに上の方に溜まるのです。つまり風呂が適温になったか否かは、良くかき混ぜないと分からない。ちょくちょく湯加減を確認する必要があり、これは我々兄弟の役割でした。ある時、風呂当番になった私は良くかき混ぜることなく「風呂沸いたよ~」と父に告げてしまい、こっぴどく怒られたのを思い出します。表面は触れないほど熱いのに、底は水のままだったのです。

さて、さて.. 「なぜ〇長の俺が声を大にして言っているのに分からないんだ?」という組織があります。「俺は何も難しいこと言っていないぞ!(分からないお前たち、バ〇なんじゃないのか?)」というくらいの勢いで、もうチンチンに熱くなっています。しかし下々の者は冷え切ったまま。昭和のバスタブのように上下で温度差があるのです。このような組織には対流がありません。熱くなった層はその場に留まっているので、温度差は一向に縮まらないのです。

一方、下から熱せられた風呂、例えば五右衛門風呂ではどうでしょうか? 底で熱せられた湯は上に上がり、対流が起こります。その結果、かき混ぜずとも均一な温度になるのです。

もう言いたいことはお分かりですね。よい風土を醸成したければ、組織全体を熱くしたければ、下から熱しないとダメなのです。熱せられた水が下から湧き上がってくるようにならないと、対流は起こりません。もしくは石焼き鍋のように、外で熱した石をドボンと鍋に投入するしかありません。この場合、突沸して汁が溢れて大騒ぎになりますが…(笑)□

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