「ビジネスで成功するにはマインドフルネス瞑想が必要だ!」と、その効用を説く方は沢山います。しかし禅僧の方は首を傾げます。「坐禅は良く、マインドフルネスは良くない」などとは決して言いませんが、あまりいい顔はしません。なぜなら坐禅はビジネスで成功するために行うものではなく、人として良くあるために行うものだからです。
我々ビジネスパーソンはVUCAの時代に生き、理不尽な会社生活を送っているのに、どこかに確実な方法、正解があると信じたい。「マインドフルネス瞑想を行えば集中力が上がり、仕事の効率が上がる」という科学的証拠に飛びつくのです。時間をかけるなら、確実な効用を求めたい。ビジネスはコスパが第一… ちょっと哀れに思えてきますね。
でも心配することはありません。「大抵のことは上手くいかない」ので…
マインドフルネス瞑想をやってみて分かることは、正解など何処にもないということ。悩みが解決される訳ではなく、悩みと付き合っていくための心の鎮め方がちょっと分かるに過ぎません。「目先の効用」を期待すると確実にがっかりします。
知人の部署で「朝、皆で集まって瞑想してみます」という話があり、私は応援していました。しかし「始めて2週間後、皆で話し合ったところ、効果が感じられなかった」と言って止めてしまいました。効用を急ぐあまり我慢できなかったようです。マインドフルネスあるあるですね。
続けた先に見えてくるのは、「人としてどう在るべきか?」、「企業はどう在るべきか?」といった哲学的な問いであり、これらは一生かけて追い求めていくものです。「目先の効用」からはかけ離れています。ビジネスパーソンは企業経営という分別の世界に生きながら、無分別の世界も受容れていく。それが肝要だと思うのです。□
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