― 経営理念を技術部門に落とし込む
技術者育成が機能しない本当の理由
前回のコラムでは、
技術者の育成は技術部門が主導するべきである理由について述べました。
しかし現実には、多くの企業で
- 人事は制度を整えている
- 技術部門も教育の必要性を理解している
にもかかわらず、
👉 人材育成が機能していない
という状況が起きています。
その原因はどこにあるのでしょうか。
私は、
👉 経営理念と現場がつながっていないこと
にあると考えています。
方法はシンプルである
では、どうすればよいのでしょうか。
やるべきことは、実はシンプルです。
- 全社の経営理念を、技術部門の言葉に翻訳する
- それをもとに、技術部門の人材育成体系を構築する
- その体系を、全社の育成体系と接続する
この流れをつくることで、
👉 理念と現場が一本につながる
のです。
なぜこの方法で機能するのか
このプロセスが機能する理由は、
「知・情・意」の三つの視点で説明できます。
- 知(論理)
自分の専門性をどう活かして
会社に貢献するかが理解できる - 情(納得)
この会社で働くことの意味に、
腹落ちが生まれる - 意(意思)
自分は何をすべきかを、
自ら決められるようになる

(知・情・意)
これらが揃ったとき、
👉 人は、はじめて主体的に動く
のです。
逆に言えば、
理念だけが存在しても、
- 現場に翻訳されていない
- 自分との関係が見えない
状態では、
👉 人材育成は機能しません
現実には、必ず抵抗が起きる
ここまでの話は、理屈としては正しいものです。
しかし実際に進めようとすると、
👉 強い抵抗が起きます
例えば、
- 経営理念は触ってはいけないものだという空気
- 技術者が「意」や「情」を扱うことへの違和感
- 正解やエビデンスを求める文化
私自身、前職でこの取り組みを行った際には、
- 役員の理解が得られない
- 公式な指示が出ない
- 水面下で進めざるを得ない
といった状況が続きました。
しかし、ここで重要なのは
👉 「正しさ」ではなく「つなぐこと」
です。
経営理念を変える必要はありません。
👉 「それを受けて、自分たちは何をするのか」
を考えればよいのです。
Valueの策定は、感情を扱う訓練になる
私が取り組んだのは、
👉 Value(行動指針)の策定
でした。
MissionやVisionは上位層が担い、
現場はValueを言語化する。
このプロセスには時間がかかります。
実際、1年を要しました。
しかしこの過程で起きたのは、
👉 技術者が「感情」を扱い始めること
でした。
技術者は、
- 事実や分析は語れる
- しかし、自分の感情は語れない
という傾向があります。
しかし、
- 何を大切にしたいのか
- なぜそれを大切にするのか
を言葉にする過程で、
👉 自分の内側に目が向く
のです。
そしてこれは、
👉 人を育てる力そのもの
でもあります。
研修は「やっただけ」で終わる
もう一つ、重要なポイントがあります。
それは、
👉 研修は、それだけでは機能しない
ということです。
研修直後は、
- 良かった
- すぐに実践したい
という声が上がります。
しかし時間が経つと、
👉 現場で使えない
という状態になります。
ここで必要なのは、
👉 ブレない軸
です。
それが、
👉 技術部門としての経営理念
です。
これがあることで、
- なぜ学ぶのか
- なぜ実践するのか
がぶれなくなります。
まとめ
技術者育成を機能させるために重要なのは、
- 人事と技術部門の違いを理解すること
- そのズレを否定せず、受容れること
- 経営理念を現場の言葉に翻訳すること
- 技術部門主導で育成体系を構築すること
このプロセスを通じて、
- 技術者は理念の意味を自分ごととして捉えられるようになる
- 自分の感情に目を向けられるようになる
- 主体的に学び、成長するようになる
👉 はじめて、人材育成は機能します
ここまで読んでいただいた方の中には、
『自社でも同じ問題が起きている』と感じられた方も多いのではないでしょうか。
特に、
- 技術者育成がうまくいかない
- 人事と現場の間にズレを感じている
- 若手が育たない/定着しない
といった課題をお持ちの企業様にとっては、
重要なテーマではないかと思います。
経営理念と現場のズレを解消し、技術者育成を機能させるには、
組織ごとに最適な設計が必要です。
当サイトでは、技術部門向けの人材育成コンサルティングを行っています。
ご関心のある方は、こちらをご覧ください。
技術者文化シリーズ
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- 技術者はなぜマネジメントを躊躇うのか
- 技術系マネージャーはなぜ1on1が苦手なのか
- 技術者の思考の特徴
- 技術者育成の難しさ
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