今回は実技試験(論述)の問い4、
「事例Ⅱのやりとりの後、あなたならどのようなやりとりを面談で展開していくか、その理由も含めて具体的に解答欄に記述せよ 」
について考えてみましょう。先の問い3同様、問い4においても「経験代謝のプロセスを理解していないな」と思われてしまう書き方があるのです。あくまで私論ですが、参考にしていただければ幸いです。
✕ 問題解決を急ぐ
論述試験の逐語録 事例Ⅱにおいては、自己概念が揺らいだ「経験を再現」し、「意味の出現」が始まったところで終わります。次に行うべきは、「意味の出現」の段階を相談者と共にじっくりと味わっていくことです。相談者が大事にしてきた価値観を言語化し、自身の心の中で何が起こっているのか明確にしていきます。相談者自らが気付いていくプロセスです。
このプロセスを丁寧に行わないと、本質的な問題の解決=「意味の実現」はありません。しかし意味が十分に明らかになっていないのに、問題解決を急いでしまわれる方がおられます。「経験の再現」の後、すぐに問題解決しようしてしまうのです。
事例Ⅱの終わりで「意味の出現」が始まったのなら、次に行うのは「意味の出現」をより深める関わりでしょう。具体的な関わり方については、先のコラムを参照下さい。
✕ 解決策を列挙する
問い3において相談者の問題を『この人には、○○力が不足しているな』と捉えると、『○○力を高められるような方策を授けてやろう』とか、『代わりに、こう考えたらいいのに』と解決策を考えてしまいます。キャリコンサルタントが考えた問題解決策を並べて、相談者に選んでもらおうとするのです。
これでは、相談者の自己概念の成長には結びつきませんね。解決策を具体化するのは、もっともっと後でいいと思うのです。
✕ ポジティブに導こうとする
相談者が夢に向かって挑戦をしている。しかし、それを実現するにはデメリットもある。そんなとき、キャリアコンサルタントは「相談者がポジティブに歩めるよう、背中を押してやろう!」と思いますよね。「新たな挑戦を支援してあげたい」… これはとても自然なことです。
しかし、ポジティブな選択をするにせよ、ネガティブな選択をするにせよ、それを選ぶのは相談者自身です。「キャリアコンサルタントが仕向けるもの」ではないのです。
キャリアコンサルタントに出来ることは、幾つかの選択肢があったら、それを無作為に並べ、相談者自らに選んでもらうことなのです。
問い4は、口頭試問で問われる「この後、カウンセリングを続けるとしたら、どのように展開して行きますか?」に相当します。これは目の前のカウンセリングをどう展開するかに留まらず、貴方がキャリアコンサルタントとして、今後、相談者にどう関わっていこうとしているのか? 姿勢を問うている問題だと、私は考えています。□
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