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  3. 複雑なことは複雑なこととして受容れる ~何でも単純化すれば良い訳ではない~
このコラムでは、「複雑なことを単純に考えること」、「複雑なことを複雑なこととして受け容れること」、どちらも大切であることを示します。
所要:3分

昨年8月にお亡くなりになられた稲盛和夫さんの名言です。

  • バカな奴は単純なことを複雑に考える
  • 普通の奴は複雑なことを複雑に考える
  • 賢い奴は複雑なことを単純に考える

複雑さの中に単純さを見出だすことの重要性を説いた言葉ですね。だからと言って、何でも単純化すればいいかと言えば、それはNo! だと私は思うのです。

残念ながら、この言葉を浅く捉え、悪用されている方もおられるように思うのです。複雑な世の中を前に立ちすくみ、行動出来ないでいる人に、「お前らバカか? 単純に考えろ。これだけやっていれば、いいんだ。」と…

お釈迦様は、複雑な世の中に単純な因果律を見出しました。全ての結果には原因があるという、極めてシンプルな理です。だからと言って、全て単純に理解出来ると説かれたわけではないと思うのです。

我々人間のようなちっぽけな存在が、複雑なことを全て理解することは出来ないと受容れ、あえて単純化して我々を勇気づけたのではないでしょうか? そこには、この世の中に対する畏敬の念と、やさしい眼差しがあるように思うのです。

稲盛さんは禅宗で在家得度された方ですから、きっとそういう思いで先の言葉を発せられたのでしょう。先のように、この言葉を誤解されている方には、そのような配慮がなく、傲慢ささえ感じてしまいます。複雑なことは複雑なこととして受容れ、勇気を持って前に進むことが肝要であると私は考えています。□

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