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  3. コンプラ重視もほどほどに ~悪いことをしないから、良いことをするに意識を向ける~
このコラムでは、「悪いことをしない」ことばかりに意識を取られてしまうことの怖さについて述べます。
所要:2分

今の日本はコンプライアンス重視世界。あれしちゃダメ、これしちゃだめの世界です。法治国家ですから、法を守ることが基本です。人には限りない煩悩がありますから、これを律する意味で戒律が作られてきたのでしょう。国としての戒律が法ですよね。大国の自国優先主義が高まり、戦争が止まない昨今、国連ではしきりに「法の支配」が説かれています。

さて「良いことをして、悪いことをしない」これが仏教の教えだと私は思います。しかし仏教における戒とは、それを守っていれば道を外れないで済むという側面もあり、「あれもダメ、これもダメ」とがんじがらめに自分を縛っているものではなさそうです。戒を守っていれば自然と良い習慣が身に付くという側面もあるようですね。

さて「悪いことをしない」ばかりに意識が向くと、「良いことをする」が疎かになりますね。人は「意識を向けたこと」が強化されるといいます。繰り返し考えていると、脳の神経回路が強化されるのでしょう。

「悪いことをすると裁かれる」という恐怖感が常にあるのが現代社会。法ならまだしも世間から裁かれる、そんな恐怖心がありますよね。「なぜこんなに人を裁きたがるのか?」これは難問ですが、いつか裁かれるという恐怖心が人に対する攻撃心に転じているように思えてなりません。

いつもいつも「悪いことをしない」ばかりを考えていると、「何も言わず、何も行動しないことが一番安全」となりがちです。何が良いことなのかについては、よくよく考えねばなりませんが、「これは良いことだよね」と思えたのなら、やってみてはいかがでしょうか? あんまり考え過ぎると体に良くないですよ。このとき、「社会に対して良いことを!」なんて大きく構える必要はありません。あなたの周りの人に対して始めればいいんだと思います。

「良いと思ってやったのだろうけれど、それはマズいよねえ」というのであれば、周囲におられる方が指摘してくれますよ。裁くのではなく、あなたを思って注意してくれると思います。「今をよく生きている人」は、「良いことをする」と「悪いことをしない」のバランスをうまくとっておられる方、良いことを自然にしている人は変に人を裁かない、私はそんな風に思います。□

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