私はモノづくりが盛んな愛知県在住です。自身もモノづくり企業で働き、研究開発の仕事をしていました。国家資格キャリアコンサルタント養成講座も名古屋にて受講。受講生仲間にも、ご同輩がおられました。自らのセカンドキャリアを描くためキャリアを学び、同じような悩みを持つミドルシニアの支援をするために、キャリアチェンジに挑戦しておられるのです。
但し人事経験の無い方は、カウンセリングの訓練(ロールプレイイングと言います)で、大きな壁にぶつかります。モノづくりの現場において身に付けてきた「感情を挟まずに事実関係を確認し、不具合の真因を突き止め、問題を解決するというスタンス」が、ことごとく役に立たないどころか、大いに邪魔をするからです。いわゆる理系の考えが全く通用しないのです。

これは、おじさんにとって、かなりの衝撃であり、これまでのキャリアを否定されたような感覚になる方もおられます。「何人もの部下を率いて工場を運営してきたのに!」 ショックを受けるのは当然です。
このような方が、この壁を突破するのは容易ではないのです。しかし私の助言によって「ああ、そういうことか!」と気付いてくれる方は、たくさんおられるのです。「会社で部下と1on1をやってみたが、上手くいかなかった…その理由がようやと分かった!」とおっしゃるのです。何故か? それは私も同じような道を通ってきたからです。
さて私は、このようなおじさんが相談者になり、女性がカウンセラーとなって練習をする場に、幾度となく立ち合ってきました。多くのおじさまは、感情を交えず事実関係を話します。そして悩みを構造化して、理路整然とカウンセラーに説明をします。「これこれ、こういう風に考えたんだけれど、解決しない。どうしたものか?」と訴えるのです。しかし、カウンセラーにしてみれば「相談者がどう感じ、どうしたいのかが全く語られなかったので、主訴が分からない」となるのです。

私はこういうセッションを見るにつけ、「きっと夫婦間の会話もこんな感じなんだろうなあ…」と、自戒の念を抱きつつ、苦笑してしまいます。「所詮、男と女は分かり合えない」と…(笑) 「おじさま相手のカウンセリングは正直苦手です」とおっしゃる方もいますね。
そんなとき、どうするか? 私はフィードバックの際、相談者の通訳となって、カウンセラーに説明をします。「女性には理解しづらいかもしれないが、世のおじさんは、こういう考えで社会を生き抜いてきたんです」と、おじさんのプライドを損ねないよう、最大限の注意を払いながらお伝えします。すると女性カウンセラーも納得してくれるのです。そして「こういう風に訊いたら、本音(感情)が出るかもしれないよ」とアドバイスするのです。その場には、相談者のおじさんも同席しているのですが、苦笑いですね。「ああ、そう訊かれたら、応えるかもしれない(笑)」と… 相談者としての学びを持ちかえって行くのです。
私は典型的なモノづくり企業のおじさんでしたが、七転八倒しながら対人支援職に転身しました。従来からの強みである問題解決思考も大事にしつつ、本質的なこころの問題に向き合う道を選びました。いわばHybridであり、これが私らしさだと自認しています。
「モノ作り企業のミドルシニアのお悩み」については、当相談室にお任せ下さい。また、昨今は理系管理職の女性も増えていますし、年上部下も増えています。そんな方には、おじさまの処方箋をお伝えできます。相談室でお待ちしております。□
~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~
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- 自分を大切にし、センサの感度を上げる
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