「今日はどんなご相談でいらっしゃいましたか?」
我々キャリアコンサルタントは、カウンセリングの練習をする際、当たり前のようにこの言葉を使います。しかし、実際の相談を受けたことがある方ならば、このような問い掛けをして、明確な答えが返ってくることなど、殆どないことも知っています。
「何を相談したくて、今日、ここに来たか?」それが明確に言葉に出来ている場合は、事前に思考を整理してこられたのだと思います。大抵は、何だかモヤモヤ…何だか不安と言った、漠然とした表現をされます。胸に手を当てて「何だか苦しい」とか、腕組みしながら「何だか腹落ちしない」と。相談者の方は、その思いがカウンセラーに伝わらず苦しんでおられます。「ごめんなさい。上手く説明できずに…」と恐縮しています。
しかし実はそういう方こそ、カウンセリングの効果が出やすい人なんです。ぜひ当相談室にお越しいただき、モヤモヤをお聞かせ下さい。私と一緒にモヤモヤの正体を探しましょう。漠然とした絵を見るのが、カウンセラーのお仕事ですので、遠慮せずにお越しください。
反対に、「こういうことがあって、ああで、こうで…」と沢山語られる方もおられます。ある問題が生じており、「こちらから見ると、こうなのではないか? 相手の立場になってみると、こうなのではないか? ありとあらゆる方向から考えたのだけれど、どれが正解なのか分からない。どう思いますか?」と問われます。
とても多面的、分析的に問題を捉えておられるのですが、このような場合は、とても難儀します。なぜなら、この場に来る前に、ご自身なりの正解を出しておられるからです。もしそれが納得のいくものならば、正解に向けて行動すればいいだけなのですが、「今日この場に相談に来た」のは、納得いかない部分があるからなのです。
このような場合は、一旦出した答えをニュートラルな状態に戻していただき、拘りや囚われ、怒りといった感情を解きほぐしながら、話を進めていくことになります。下図で言えば、「頭で考え、一旦結論を出しているのだが、感情の層に向かおうとすると、激しい抵抗に合い、腹落ちしない」ということなのです。
前述した、「何だかモヤモヤ」「何だか不安」な方は、感情や意思の層にアクセスしようとされており、思考ではどうにもならないことを受け容れておられると思います。そのため、自身のこころの深層に比較的容易にアプローチでき、本質的な悩みの解消に至るのだと、私は考えています。
何を隠そう、私は長い間、多面的・分析的に考えることをヨシとしてきた人間です。それが私のコアを作って来たのであり、その能力は大切にしたいと思っています。しかし、それだけに拘ってしまうと、とても生きづらいのが人間です。何事もバランスであり、感情や意思の層にアクセスできるようになると、鬼に金棒だと思います。
何だかモヤモヤの方も、多面的・分析的な方も、ぜひ当相談室にお越しください。じっくりとお話しを聴かせていただきます。□
~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~
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