カウンセリングのすすめ(12) ~何に悩んでいるか上手く説明できない~

カウンセリングのすすめ
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「今日はどんなご相談でいらっしゃいましたか?」

我々キャリアコンサルタントは、カウンセリングの練習をする際、当たり前のようにこの言葉を使います。しかし、実際の相談を受けたことがある方ならば、このような問い掛けをして、明確な答えが返ってくることなど、殆どないことも知っています。

「何を相談したくて、今日、ここに来たか?」それが明確に言葉に出来ている場合は、事前に思考を整理してこられたのだと思います。大抵は、何だかモヤモヤ…何だか不安と言った、漠然とした表現をされます。胸に手を当てて「何だか苦しい」とか、腕組みしながら「何だか腹落ちしない」と。相談者の方は、その思いがカウンセラーに伝わらず苦しんでおられます。「ごめんなさい。上手く説明できずに…」と恐縮しています。

しかし実はそういう方こそ、カウンセリングの効果が出やすい人なんです。ぜひ当相談室にお越しいただき、モヤモヤをお聞かせ下さい。私と一緒にモヤモヤの正体を探しましょう。漠然とした絵を見るのが、カウンセラーのお仕事ですので、遠慮せずにお越しください。


反対に、「こういうことがあって、ああで、こうで…」と沢山語られる方もおられます。ある問題が生じており、「こちらから見ると、こうなのではないか? 相手の立場になってみると、こうなのではないか? ありとあらゆる方向から考えたのだけれど、どれが正解なのか分からない。どう思いますか?」と問われます。

とても多面的、分析的に問題を捉えておられるのですが、このような場合は、とても難儀します。なぜなら、この場に来る前に、ご自身なりの正解を出しておられるからです。もしそれが納得のいくものならば、正解に向けて行動すればいいだけなのですが、「今日この場に相談に来た」のは、納得いかない部分があるからなのです。

このような場合は、一旦出した答えをニュートラルな状態に戻していただき、拘りや囚われ、怒りといった感情を解きほぐしながら、話を進めていくことになります。下図で言えば、「頭で考え、一旦結論を出しているのだが、感情の層に向かおうとすると、激しい抵抗に合い、腹落ちしない」ということなのです。

前述した、「何だかモヤモヤ」「何だか不安」な方は、感情や意思の層にアクセスしようとされており、思考ではどうにもならないことを受け容れていると思います。そのため、自身のこころの深層に比較的容易にアプローチでき、本質的な悩みの解消に至るのだと、私は考えています。


何を隠そう、私は長い間、多面的・分析的に考えることをヨシとしてきた人間です。それが私のコアを作って来たのであり、その能力は大切にしたいと思っています。しかし、それだけに拘ってしまうと、とても生きづらいのが人間です。何事もバランスであり、感情や意思の層にアクセスできるようになると、鬼に金棒だと思います。

何だかモヤモヤの方も、多面的・分析的な方も、ぜひ当相談室にお越しください。じっくりとお話しを聴かせていただきます。□


~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~

  1. どんな効果が期待できるのか?
  2. 私の得意不得意
  3. 身体の不具合が出る前に
  4. 自分を大切にし、センサの感度を上げる
  5. 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合
  6. 聴いてもらう嬉しさを知ろう
  7. 就職・転職とは関係なくてもいいんです
  8. オンラインカウンセリングの良さとは
  9. 一般的なコンサルティングとの違い
  10. 中高年の技術系社員の悩み
  11. 相談者の自己受容をお手伝い
  12. 何に悩んでいるか説明できない 本投稿
  13. セカンドキャリアの考え方
  14. 技術系専門職の皆さまへ
  15. 同じような悩みを持っている人はたくさん居る
  16. 組織を対象としたカウンセリング
  17. 1on1の練習をしませんか?

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