キャリアカウンセリングのロープレにおける、オブザーバーの視点について考えてみましょう。これを意識すると、自身がキャリアコンサルタント役をやらないときも、多くの学びを得ることが出来ます。
私は有資格者としてオブザーブし、口頭試問するとき、以下のような目線でその様子を見ています。
- 来談目的は何か? 相談者が始めに語った言葉を正確にメモします。意訳せず、ニュアンスを大事にします。その後の展開において、キャリアコンサルタントが来談目的を見失っていないか? チェックしています。
- キャリコン役の方の良いところをメモします。言語的追跡が上手とか、問い掛けの仕方が素晴らしいとか、流れが自然とか、その人の良さをフィードバックするためにメモします。その人なりの良さが必ずあるので、良さを活かしてもらうようにするためです。
- 相談者に内省を促すような、いわゆるキラー質問をメモします。受験生の方でも、本質に迫る素晴らしい問い掛けをする方もおられます。思わず唸ってしまいますね。
- 相談者が何度も発した言葉をマークします。キャリコン役の方が、その言葉を拾えていたかチェックします。
- 流れが悪い方向に変わってしまった箇所について、後ほど質問するための準備をします。『あそこで、~と展開しましたが、何故そうしたのですか?』と問うためです。ダメ出しするのではなく、ご本人に気付いてもらうためです。もちろん、好転したポイントもチェックします。
- 「私だったら、ここでこう訊きたい」という質問をメモします。後で質問の意図をお伝えして、ご自身で気付いてもらうためです。
これらの観点については、チェックリストを作っている訳ではなく、流れの中で確認するようにしています。採点する訳ではなく、気付きを持って帰ってもらうことが、フィードバックの目的だからです。
今でこそ、フィードバックをするためにオブザーブをしていますが、私が受験生のときは以下の点を意識していました。
- 経験代謝のサイクルの何処に居るのか、サイクル図を横に置いて聴いていました。上手な方の場合、どの段階に居るかが極めて分かりやすいのです。「意味の出現」を飛ばして、「意味の実現」をしようとした場合は、問題解決志向が前面に出たカウンセリングになってしまいます。
- この相談者が描く理想像は何か? 対して現実はどうなのか? 主訴を構造化し、「口頭試問で答えるべき言葉」を紡いでいました。この際、相談者が使った表現をそのまま使うように意識をしていました。論述試験の問い3に当たる部分です。
- この後、どのように展開すべきか、私だったらどうするかを考えていました。論述試験の問い4ですね。
この3点だけでも意識をすると、学びの質が確実に高まります。受験生の皆さんに強くお薦めします。□
コメント
昨夜は 大変お世話になりました。
本日のアドバイス 大変参考になりました。ありがとうございました。正直、仰るレベルのオブザーバー機会の活用はあまり意識していませんでした。これまで とっても勿体ないことをしていたと思っております。すべてを学び尽くす、味わい尽くす、しゃぶり尽くす という姿勢で次回以降望みたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。