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  3. 経営理念とキャリアデザイン ~進むべき方向の明確化~
本コラムを読むと、経営理念のデザインと、キャリアデザインの類似性に気付くことができます。
対象:  、所要:3分
経営理念のピラミッド

私は数百名からなる自部門の、経営理念構築に携わったことがあります。会社には経営理念(フィロソフィー)があり、ミッション(使命)/ビジョン(目指す姿)/バリュー(行動規範)の3階層で整理されていました。但し大会社で、業務内容も多岐にわたるため、3階層とも漠然とした言葉で表現されており、自部署の業務と結びつけるのは容易ではありません。これでは絵に描いた餅になってしまいますので、これを自部門の経営理念としてブレークダウンすることにしました。

ミッションは社の使命を受けた、自部門が果たすべき使命。ビジョンも社の目指す姿を実現するために、自部門が目指す姿です。これらは担当役員が言語化しました。

私が担当したのは、バリューの部分であり、これまで自部署が大事にしてきた価値観、行動規範です。これはトップダウンではなく、ボトムアップで策定せよというのが私の使命であり、若手メンバー8名を集めてワーキンググループを結成し、全員参加の活動を経て、約1年間をかけて策定しました。真剣に取り組むが故、議論は何度も紛糾しましたが、業務を遂行する上で大事にしたい価値観を言語化することが出来ました。

村山昇、働き方の哲学、p.39をもとに筆者が加筆

さて、キャリアデザインにおいて考えるべき事柄は、これまで培ってきた①知識・技能・資格・人脈を棚卸しすることです。次に②自身の行動/思考特性、価値観を洗い出すこと。自問自答したり、各種のアセスメントを受けたり、カウンセリングを受けたり、グループワークをすることによって、自身の内面を明確化していきます。一方、③外部環境や自分の立場・役割など外的要因を明確化することも重要です。そして、④目的・目標・夢・志など未来の姿を具体化していきます。

キャリアデザインを行う際の①~④のプロセスは、経営理念構築のプロセスとそっくりなのです。①は、これまでの会社の歴史そのもの。メーカーであればコア技術も含まれるでしょう。②はバリュー。どんな価値観を大切にする職場風土なのかに他なりません。③会社を取り巻く外部環境の理解も欠かせませんね。その上で、④会社のミッション、ビジョンを明らかにしていくことが経営理念構築のプロセスなのです。

考えてみれば、対象が個人か組織かの違いはあれども、進むべき方向を明確にしていくことに何ら変わりはないのです。特に②価値観の明確化は重要ですね。③外部環境の変化が激しい現代において、①および②が明確でないと根無し草になりますね。最近はパーパス経営が叫ばれますが、これは①と②をしっかり踏まえた④のようなものだと、私は捉えています。□

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