経歴と専門性

プロフィール
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キャリアカウンセラーは、”聴くことの専門家”でありたいと私は考えています。個別の業界、職種に関する知識や経験は、かえって先入観を生み、相談者にとっての真の問題解決にならないこともあるでしょう。しかしながら、それがあるからこそ、お聴きかせいただける話もあり、必要に応じたアドバイスが出来るのです。ここでは経歴を通して私の専門性についてお伝えします。

経歴から見た専門性

稲田 豊の専門性

技術者・研究者として

  • 大学/大学院にて7年間、企業の研究所にて16年間、研究開発業務(実験系)に携わっていました。専門は機械加工技術です。技術職、研究職に特有な事情についての知見があります。
  • 関連学会や社内において、技術論文の査読や、技報の編集作業も行いました。専門は機械加工技術ですが、周辺技術についても対応できます。
  • 開発した技術については公表できるものがほとんどありません(泣)。会社の本業とはちょっと離れた怪しい装置開発・部品開発をしておりました。
  • 開発した技術を論文にまとめ、発表することを夢見ていたので、社外に公表できないことは大きな苦痛でした。社内レポートは膨大に書きましたが、あまり評価されず、ひどく落ち込みました。
  • 技術者としては大成できず、40代前半で自身のキャリアについて大いに悩みました。その後、技術調査能力等を買われ、企画職として転身を図ることになります。戦略性や達成欲(Gallup Strengths Finder)が強く(ココ)、あれこれ調査して企画立案するのが好きなのです。エニアグラム診断は、タイプ5(研究者)です。

労働組合役員として

  • 労働組合非専従役員としての経験もあります(約3年)。事業所内の労働諸問題について、現場の声を聴く機会も多くありました。東南アジア諸国の現法視察にも行かせていただき、海外現法における日本人の働き方にも触れました。
  • 職場での諸問題、人事制度、働き方に関する問題についての興味や問題意識は、この時期に形成されました。事技職でしたが、現場のおっちゃんに叱咤激励されながら、組合活動をしていました。
  • 現場の声を丁寧に聴き、組合本部に報告し、それを支部に報告すると、予想以上に感謝されました。技術報告書をいくら書いても評価されないでいた私にとって、人から感謝されることの嬉しさに酔っていました。
  • 但し、二足のわらじを器用に履くことが出来ず、本業での評価は地に落ちました(笑)。関わり始めると、一つのことに没頭してしまう傾向があります。

技術の企画職として

  • 企画職に異動してから、各事業本郡や、社外の研究機関との連携を担当しました。技術者間の調整等の経験もあります。自身の領域の専門用語で話す方々の間で、”翻訳”をすることが得意です。グループ企業の技術者とのお付き合いも多数ありました。
  • 他部署役員への事前説明、調整等に関わることも多数ありましたので、妙な度胸はあります。役員に飛び込みで説明に行く…なんてことも何度かありました。
  • 新技術の企画立案等を支援する立場より、MOT(Management of Technology)を学びました。MBA等の資格は持っていませんが、異業種交流会等で知見を深め、他社の技術部門の方と交流させていただきました。
  • 社内外イベントについて、お堅いものから緩いものまで、企画運営~会場準備~司会進行等を行ってきました。諸段取りをイメージすることには自信があります。
  • 地元のスポーツ少年団において、小学生を対象とした活動を9年間行っていましたので、子供の相手も得意です。前職では小中学生を対象とした、モノづくりイベント*を複数回、企画運営しました。*本件については、トライボロジー学会誌「小型自動車模型の競争から学ぶ ―東日本大震災復興支援としての体験型ものづくり教育―」2017 年(Vol. 62 ) 5 号 339 頁にまとめてあります。

風土醸成担当者として

  • ポジティブ心理学の知見を取り入れた職場風土醸成活動を行う中、若手技術者をとりまとめ、自部門のコアバリュー(行動規範)を策定しました。全社の理念浸透活動にも携わりましたので、理念体系構築に関する知見もあります。
  • Well-beingを目指す働き方については、4年ほど前から広く動向調査をし、そのエッセンスを自部門に広く紹介してきました。このブログに掲載しているような各種情報を300件以上、社内ネットワークで発信してきました。緩いものから、お堅い文章まで書き分けることができるライターです。
  • MiLI (Mindful Leadership Institute) が主催する研修、SIY : Search Inside Yourself を受講し、自己の内面に向き合うことの重要性を学びました。その後、MBCC (Mindfulness Based Coach Camp) 基礎コースにて、コーチングの初歩を学びました。
  • マインドフルネス瞑想は、SIYを受講した2019年秋頃から、ほぼ毎日実践しています。何の資格もありませんが、仲間内での瞑想会で導師を務めることもあります。
  • このとき学んだセルフマネジメントの手法によって、自分自身が一番助けられています。→ココ

人財育成担当者として

  • 数百名からなる自部門の人財育成施策を担当する中で、「人財育成ガイドライン」の策定に携わり、キャリア面談が実施できるように整備しました。当時、人事部が策定した方針はありましたが、技術系社員に適したものではありませんでした。そこで自部門に特化したガイドラインを策定したのです。
  • 自部門の新人教育についても、自ら講師となって3年間、指導にあたりました。コロナ禍の中、オンライン研修をスタートさせ、研修動画も作成してきました。
  • キャリアに対する考え方については、村山 昇 氏の著書で勉強したので、その考え方に強く影響を受けております。

キャリアコンサルタントとして

  • キャリアコンサルタントという資格は、浅川正健氏の著書「企業内キャリアコンサルティング入門  個人の気づきを促し、組織を変える」を読んで知りました。そのためキャリアコンサルタント養成講座は、日本マンパワーにて受講しました(第18回)。
  • 国家資格キャリアコンサルタント取得後、社内において、いつでも相談にのるとしていましたが、個別相談を受けたのは数件でした。恥ずかしながら「社内で、延べ〇〇人の相談に対応!」などと書くことは出来ません。正式な相談窓口ではなかったことや、人事を扱う部署に所属していたこと等が障害になったと考えています。
  • 自身がキャリコン受験生の頃から、有資格者の先輩方が主催するロープレ勉強会への参加を続けておりました。毎回2h超の勉強会に述べ150回以上参加し、450件の相談のオブザーブ、フィードバックをしてきました。これらの内容は書籍としてまとめました(ココ)。
  • 現在、オンラインおよび面着にてカウンセリングを行っています。→ ココ
  • 社外1 on 1を提供するYeLLにサポーター(話を聴く側)として登録。23年10月より、7 名のプレーヤー(企業側のお客様)を担当してきました。職場やプライベートにおける出来事やお悩み相談まで、キャリアとは直接関係が無い案件も含め、1~2週に1回の頻度で30分の音声会話をしています。キャリコンとしての傾聴力を活かしつつ、当方から話題提供することもあり、とても自然な対話の場となっています。
  • 利害関係のないフリーランスのキャリアコンサルタント故、会社内で話しにくいことについても、お聴きすることが出来ます。お悩みの方は是非お問合せ下さい。

心理相談員として

  • 中央労働災害防止協会(中災防)にて、心理相談専門研修を受講しました(2023年10月、名古屋)。心理相談員です。職場でのメンタルヘルスに関する知見があります。
  • 前職において労働組合役員(非専従)を経験しましたが、精神系疾患における休業日数や、職場不適応による早期退職は大きな問題となっていました。ストレスチェックについては、義務化される以前より実施されていましたが、余程の問題職場でない限り、職場風土改善に使われることはありませんでした。
  • それではいけないと、社内の保健師の方に嚙みついたことがありますが、個々の職場にかけるマンパワーが無く、手をこまねいておられたようです。また、休職の原因は職場環境以外にも多数あることも知りました。この時感じた問題意識は今も変わらず持ち続けており、医療行為としての心理カウンセリングは出来なくとも、グレーゾーンの方の力になれるのではないかと考えております。
  • 私が4年来続けているマインドフルネスも、メンタル疾患の予防に有効であることが分かっています。日常生活への取り入れ方等についても、実体験を交えて指南することが出来ます。

経歴の掛け算で何が出来るか?

6つのホランドタイプと統合の時代」で書いたように、私は根っからの、R(現実的)-I(研究的)タイプ。そんな私が、その対角にあるS(社会的)なキャリアコンサルタントを目指したこと自体、かなりのイレギュラーなのです(笑)。しかしながら、”技術者・研究者のキャリア支援”は、今後ますます需要が拡大するものと考えています。なぜなら、価値観は大きく変貌し、次々に新しい技術分野に挑戦していかねばならない時代だからです。

しかしながら、人事部門が仕掛けるキャリア支援は、非技術者を対象とした内容が多いんですよね。研究者を対象としたキャリア支援となると、更に特殊なものにならざるをえませんが、人事系の方にはピンとこないと思います。「効くツボ」が違うからです。例えば、機械設計者と、データサイエンティスト。「同じ理系じゃん!」っておっしゃるかもしれませんが、アプローチが違うのです。それが分からないと、技術者の不安に寄り添うことはできないと私は考えています。

以上のことから、キャリアコンサルタントとしての私の独自性は、「技術者のキャリア支援」にあると考えております。

今後広げていきたい専門性

  • 対話型AIの進化により、対人支援職の在り方も大きく変わってくると考えています。生身のカウンセラーにしか出来ない支援とは何なのか? 技術の進化も横目で追いながら、考えていきたいです。
  • AIの進歩によりどんどんと仕事が変わり始めました。中間的な仕事は無くなっていきますね。自身の仕事によって生み出せる価値とは何なのか?今まで以上に考えざるを得なくなるでしょう。「職場の上司との関係で悩んでいる」ならまだしも、「AI導入で仕事が無くなって困っている」、「AIに負けない、自分の専門性って何だろう?」という相談者に対し、どう対応したらいいのでしょう? そんな時代は目の前です。職場環境変化に対する感度向上が必要と考えています。
  • 南海トラフ大地震が起きると、ものづくり集積地である愛知県は壊滅的な打撃を受けると予想しております。この地に働く皆さんの働き方も大きく変わるでしょう。防災士として、地域の非常時に何が出来るのか模索していきたいと考えています。
  • 仏教や禅など東洋的なものの見方を、キャリアカウンセリングに採り入れたいというのが長期的な夢です。これは実家が寺であり、宗教や哲学、心理学について昔から興味があるからかもしれません。

私のキャリアアンカーは「専門・職能別能力」と「奉仕・社会貢献」です(ココ)。自身の専門性を活かし、社会貢献することを良しとします。キャリアコンサルタント養成講座の最終日、講師の先生から渡されたカードには ”Profession” と書きました。自分らしい専門性を活かしたキャリア支援の在り方を模索していきます。□

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