1. ホーム
  2. キャリアコンサルタントの部屋
  3. 感情を無視するとどうなるか? ~そりゃ頭でっかちにならざるをえません~

「受容・共感・一致」でカウンセリングをしても上手くいかないクライエントが居ること(ココ)、そうならないようにするために、自身の知情意傾向を知り、マインドフルネスをすることを提案しました(ココ)。私は5年余りマインドフルネスを実践し、特に企業の技術者・研究者にその重要性を訴えてきましたが、なかなか伝わりませんでした。彼らを「カウンセリングが効きにくい人たち」と括ってしまうのは簡単ですが、どうしても白旗を上げきれない自分が居ます。そこで先に提案した下図を基に、もう少し考えてみたいと思います。

  • 技術者・研究者は、思考を磨いてきた人たちです。誤解を恐れず言えば元来「頭でっかち」なのです。「自分に起きた出来事を説明的に語ること」や「自分を知的に分析的に語ること」に終始して自分の内側に触れることができないクライエント(諸富祥彦、カウンセリング(上)、誠信書房、P.174)なのです。
  • ”自然現象”に対し、「説明的に語ること」や「分析的に語ること」について、徹底的に訓練してきたので、”自分に起きた出来事”も同じように語るのです。知的に分析的に語ることも重要であり、客観的であることが求められます。それが彼らの自己概念を形成してきたのです。主観的な”感情”など、差し挟む余地などないのです。
  • 一方で技術者・研究者にも、”意志”は求められます。分かりやすい例を挙げれば、SDGsのどの課題を解決するためのテーマなのかを明確にすること等が求められるのです。また、その意志は、より客観的であることが求められるのです。「君がやりたいかは訊いていない! 世の中はそれを望んでいるのか? 私はそれを訊いているんだよ…」そんな役員さんの声に凹まされた経験、技術者なら誰しも持ってますよね。
  • すなわち上図のピラミッドのうち、”感情”の階層が欠如していることが分かります。更に昨今のハラスメント問題から、技術者・研究者に関わらず、社員の感情に触れることははばかられるのです。

このように考えると、現代の技術者・研究者を取り巻く状況は下図のようになるでしょう。

知情意のピラミッドは崩れ、意志は他人事になりがち。感情なんか表現したら、会社に居られない… そりゃあ、頭でっかちにならざるをえません。「心理的安全性」という言葉が叫ばれて久しいですが、それが低ければ感情など表現できません。思考レベルで行き場を失い、悩みは解決されません。

こんな状況でも出来る事は、以下の二つだと思います。

  • アサーティブな感情表現を学び、自ら心理的安全性の高い職場を作る
  • 意志は、アントレプレナーシップ教育で醸成する

”カウンセリングが効きにくい人たち”が、これを自認し、知情意のバランスを取り戻してもらえるような支援は出来ないか… 私は、そんなことを考えています。□

\ 気に入ったら、いいね&シェア下さい/