「彼を知り己を知れば百戦危うからず」
孫子の兵法として、あまりに有名なこの言葉。キャリア開発に当てはめてみましょう。外の状況をしっかり把握し、己の事が良く分かっていれば適切な判断が出来、有意義なキャリアが歩めることでしょう。それでは外の状況と内の状況を知ること、どちらがより重要でしょうか?
孫子の兵法において外と内、取り得るパターンは表の4つです。Aが最強、Dが最弱であることは言うまでもありません。それでは、BとCならどちらが強いでしょうか? 色々な考え方があると思いますが、私は Cだと思うのです。
例えば自社の得意な技術で、独占的シェアを持つ他社の技術に挑んだとしましょう。相手の技術を知り過ぎていると大抵は怖気づき、戦いを挑むことはないでしょう。いわゆる耳年増になって、闘う前に勝負は決まってしまいます。しかしながら、自陣のことをよく知っている大将は、強みを活かした闘いができるので、勝ち目があると思うのです。
私が「外より内の理解が重要だ」と考えるのには、もう一つの理由があります。Googleです。同社は言わずと知れた検索エンジン最大手。外を知るための技術を提供することで、世の中を変えてきた会社と言っても過言ではないでしょう。しかし、その一方で同社は、”Search Inside Yourself” という自己探求のためのプログラムを開発してきたのです。彼らは外の世界を探求するうち、内の世界を探求することの必要性に改めて気付き、それを研修化したのではないかと私は考えます。外部情報が溢れる現代において、これはとても象徴的なことではないでしょうか?
キャリアコンサルティングにおいても、フォーカスすべきは”内”ですね。外部の状況が激変し、キャリアチェンジが求められたとしても、まず棚卸しすべきは、「自身がどうしたいか?」です。キャリアコンサルタントの仕事は、クライエントが自分自身に気付いてもらう支援をすることであって、外部情報を与えることではありません。□
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