ホランドが提唱した「職業選択のための理論」があります。これは人の性格を以下に示す6つのタイプに分け、それに適した職業を選択することによって、職業満足度が高まるとした理論です。
- Realistic(現実的):モノ、道具、機械などを扱うことを好む
- Investigative(研究的):数学や科学関係の行動を好む
- Artistic(芸術的):慣例にとらわれず創造的な活動を好む
- Social(社会的):人に伝える、教える、手助けすることを好む
- Enterprising(企業的):他人を導いたり、他人に影響を与えることを好む
- Conventional(慣習的):情報を明確に秩序立てて整理できる活動を好む
この6タイプは興味テストと自己評価検査を行うことによって判別することができます。6角形の図にプロットするとこのようになり、隣り合う特性は近く、対抗する特性は遠いものになります。
ホランドの研究を継承したプレディガーは、4つのワークタスクディメンション、①モノ、②人、③アイディア、④データを6角形に重ねました。Rタイプの人はモノを好み、その対抗にあるSタイプの人は人を好む。A、Iタイプの人はアイディアを好み、Eタイプ、Cタイプの人はデータを好む。とても納得のいくイメージかと思います。
さて私もCPS-J(Career Planning Survey-Japanese Version)を受け、ホランドタイプを診断してみました。その結果、典型的なR-I人間(RとIの複合型)であることが分かりました。モノが大好きな研究者です。以前の仕事はモノづくりの研究者ですから見事にマッチング。慣習的な業務は大嫌いで、人を動かしたい気持ち(企業的E)はあるのですが、その能力には欠けており、マネージャーには向きません。
しかし今目指しているのはRの対抗にあるS。対人支援職であるキャリアコンサルタントという仕事です。能力も経験もなく、今までとは正反対の職種を目指していることになり、自分でも呆れてしまいます。(一体何なんだろう?)とずっと考えていたのですが、以下のように考えることで少し納得できたのです。
今の世の中を見ると、モノ/人、アイディア/データという対抗する概念を統合しようとする動きがあります。例えば、モノ/人ですが、人に対抗する概念としてのモノの時代は終わり、如何にして人に寄り添ったモノを作るかが重要な時代になってきました。デザインシンキングという開発技法も、人、社会に寄り添った手法です。
またアイディア/データですが、研究者のアイディアを起点とし、理論化していくのが従来の研究のパターン。しかしデータを読み解くことによって法則性を見出すデータサイエンスが急速な発展を遂げていることは、皆さんご存じの通りです。機械系研究者(R-I型)はデータを活用する業務(E-C型)を苦手にする傾向があるかと思いますが、もうそんなこと言っていられる時代ではありません。
このように、モノ/人、アイディア/データが対抗する概念であると捉える時代は終わり、それらを統合する時代になってきたと言えるでしょう。ちなみにモノ/データの統合はIoT(Internet of Things)。人/アイディアは社会課題解決、SDGsとも言えるのではないでしょうか?(人の問題をアイディアで解決する)
こう考えると、どちらか一方の概念に囚われるのは、とてもモッタイナイことかもしれません。我田引水は否めませんが、このように自己肯定感を高めることで、今までにない仕事のスタイルを切り拓いていきたいと考えている今日この頃です。□
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