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  3. 面接試験の口頭試問と論述試験 ~相談者同席の下、言えないことは答えない~
このコラムは、キャリアコンサルタント実技試験(論述・面接)における、心の在り方について論じます。
対象:、所要:3分

国家資格キャリアコンサルタント試験の実技試験(論述・面接)に向け、皆さん大変な努力をされていますね。何度も何度もロープレを繰り返し、録音を聴きながら、自身の欠点に向き合い、それを修正していくことは大変です。そこに向かう志に接すると私は胸が熱くなります。

さて、そんなロープレ勉強会では本番さながらに口頭試問を行うことがあります。「この相談者の来談目的と主訴は何ですか?」、「この先カウンセリングを続けていくとしたら、どのように展開していきますか?」などと、オブザーバーが質問をします。主訴はJCDA論述試験の問い3に相当し、今後の展開は問い4に相当します。

勉強会においては、口頭試問に移っても、相談者はその場に残ります。リアルでは背を向けてもらったり、Zoomでは画面オフ・音声オフにしてもらったりしますが、基本、相談者は口頭試問の様子を聞いています。キャリアコンサルタント役の方も、それは重々承知していますから、聴かれていることを前提に言葉を選びながら応えます。

例えば「この相談者の方、かなり思い込みが激しいなあ… だから選択肢が狭まっているのではないだろうか?」と思ったとしても、その相談者が聴いている前で、「この人は思い込みが激しいです。自分の特性も良く分かっておらず、新しい仕事に何が求められているか、全く理解しておりません。」などと、ジャッジはしませんよね?

「この相談者は、メンバー皆で議論しながら仕事をすることを大事にしてきたようです。しかし、新しく来た上司の方が強権的な方で、これまでのやり方を頭ごなしに否定され、精神的にまいってしまっているようです。それ故、転職まで考え悩んでおられる…」などと、相談者に敬意を払って答えますよね。

しかし… 論述試験問い3で主訴を問われた瞬間、”思い込み”とか、”自己理解不足”、”仕事理解不足”という言葉を使われる方がいるのです。何故でしょう? 試験本番において、相談者役の方は同席しないからでしょうか?

確かに実際の面接試験ではロープレ終了後、相談者は席を立ち、退室してから、口頭試問が始まります。ロープレ勉強会のように、相談者がその場に残って聴いている訳ではありません。だからといって、「さっきの相談者はですねえ、思い込みが激しくて、自分のことも、仕事のことも分かっていません。(そうですよねえ、合ってますかねえ?)」と、試験管の方に答えますか?

今後の進め方を問われたなら、「まずは、この相談者に自己理解を促します。そして新しい仕事に何が求められるか整理し、その実現に向けた支援をします」って言うのでしょうか?

私はとても言えません。15分ばかり話を聴いただけで、相談者にダメ出しするなんて… 笑ゥせぇるすまんの喪黒福造じゃないんだから…と思います。

「思い込み」とか、「自己理解不足」、「仕事理解不足」というフレームワークに従って、客観的な問題点をあげつらうのって簡単だと思います。しかしながら、相談者は「私は何かに囚われているのかもしれない。自分のことも、仕事のことも、よく分かっていないかもしれない」と思いつつ、「けれど一人ではどうにもならない。だからココに相談に来た」のです。ダメ出しされちゃったら、帰っちゃいますよね。「ああ、せっかく心を開いて話をしたのに、キャリコンってこんなもんか…」と。

論述試験においても、面接試験においても、相談者が同席して言えないようなことは言わない、書かない… 私はそれが原則だと考えています。□

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