キャリアコンサルタント実技試験(論述)には正解がありません。過去問を繰り返し解き、自分なりの回答スタイルを見つけるしかありません。問われているのは「経験代謝のプロセスを理解しているか?」であり(JCDAの場合)、それが伝わればいいのです。逆に言えば「経験代謝のプロセスを理解していないな」と思われてしまう書き方があるのです。
今回は、問い3「相談者の 問題と思われる点 を、具体的な例をあげて記述せよ」への回答法について、私見を述べさせていただきます。参考にしていただければ幸いです。
✕ 客観的な問題として相談者を責めるような書き方をする
我々企業人は”問題”と言われると、客観的な事実としての問題をイメージします。「目標値に達していない」とか、「今日中に完了させる予定だったが、終わらなかった」とか、〇か×、善か悪かで判断できる問題をイメージします。ダメな原因を探り、それを解消します。アドラーはこれを” 原因論”と呼びます。
しかし相談者の問題は、あくまで主観的なものです。 相談者から見て問題なのであって、他人が客観的に見たら「それの何が問題なの?」なんてこと、良くあるのです。客観的な目で、その問題を裁いたところで何の意味も無いのです。ましてや、その問題を解決できていない相談者を責めるなんて…
相談者へのリスペクトを忘れず、「相談者が見た主観的な問題」として記述することが肝要だと思います。これが相談者の主な訴え=主訴に他なりません。何のためのカウンセリングなのか? ”目的論”で考えましょう。
✕『〇〇不足』と表記する
相談者に問題が生じている原因を、① 〇〇不足、② △△不足… といったように列挙される方がおられます。私はとても違和感を覚えます。キャリアコンサルタントが相談者に向けて、「問題を解決するための能力が足りていない!」と指摘したところで、「相談者の自己概念の成長」はありません。〇〇不足はやめましょう。
✕ いくつもの問題を列挙する
再現された経験の中に見える、ありたい姿と現実のギャップが問題となります。いくつもの経験を聴くと、いくつもの問題をあげたくなりますね。人によっては「共通部分」で語られたギャップまで表現されます。
しかし逐語録を先頭から読んでいき、ギャップをいくつも抽出するようなやり方、私はお薦めしません。なぜなら、より本質的な問題は「意味の出現」が始まった事例Ⅱの後半に現れているからです。ここにフォーカスし、相談者にとってより本質的な問題点について記述するのが良いのではないでしょうか?
口頭試問で主訴を問われたとき、①〇〇が~なことが問題、②△△が~なことが問題… なんて、いくつもあげないですよね。メモを取りながら聞くと、そうなるかもしれません。しかし実際のカウンセリングの場では、一通り話を聴く中で浮かび上がってきた、最も本質的な問題を”主訴”として答えますよね。自己概念が揺らいだ本質的な問題だけを記述すれば良いと、私は思います。□
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