論述と面接で問われていることは同じである ~経験代謝を理解しているか?~

キャリアコンサルタントの部屋
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キャリアコンサルタント試験(JCDA)において、論述試験と面接試験で問われていることは同じです。論述試験が『読んで書く』のに対し、面接試験は『聴いて話す』という違いがあるだけで、どちらも経験代謝によるキャリアカウンセリングの基本的考え方を理解しているかを問うものです。

論述試験の問1は、事例Ⅰと事例Ⅱの流れの違いを問うものであり、これは口頭試問の『カウンセリングを通じて出来たところ、出来なかったところを教えて下さい』に相当します。全体的な流れを振り返って『あの質問によって内省を促すことが出来た』とか、『あの部分で、ちょっと先入観を持ってしまい、相談者を誘導してしまったかもしれない』といったように、自身のカウンセリングを客観的に見つめます。

無論、論述試験の事例Ⅰは失敗例で、事例Ⅱは好事例ですから、二つの事例です。面接試験は一つのカウンセリングの中に良い部分と失敗した部分を見出だすものなので、その点において違いがあります。しかしカウンセリングの流れをメタ認知するという点においては同じといえるでしょう。

問2は流れを作った象徴的な問いかけについて相応しいか否か、具体的な理由を問うものですから、口頭試問の『出来たこと、出来なかったこと』に含まれます。

論述試験の問3は主訴を問うものであって、口頭試問の『来談目的と主訴を教えて下さい』に相当します。来談目的は相談者が最初に発したセンテンスそのもので、主訴は『ありたい姿と現実のギャップ』です。単なる事象の問題点ではなく、相談者の自己概念の揺らぎが主訴なのです。例えば「今後、上司とどう付き合うべきか?」を問題として捉えて対策を導き出すのではなく、「なぜ上司と上手くいかないのか? なぜ私は上司に対しモヤモヤしてしまうのか?」という本質に迫り、相談者の中で気付きを得てもらうのが経験代謝なのです。

最後の問4。これは『この先カウンセリングを続けるとしたら、どう展開しますか?』に相当します。論述の事例2では意味の出現の入り口で終わっていることが多く、この先の展開としては意味の出現のプロセスを丁寧に進め、大事にしてきた価値観を言語化してもらい、メタ認知を促すことが肝要です。問4で『意味の実現』に相当する今後の対処法を書くと、『意味の出現』を飛ばして『事象の問題の解決』をすることになりますので、経験代謝のプロセスを理解しているか疑われてしまいます。経験代謝ではカウンセリングの目的を、事象の問題点の解決でなく、自己概念の成長と捉えるからです。

このように、論述試験と面接試験において問われていることは同じですから、私は受験生の皆さんに対して以下のようにアドバイスさせていただいています。『ロープレを上達させたければ、論述対策も並行して行うと良い。論述が出来るようになるとロープレも必ず上達する』と… 何を隠そう、私も受験生の頃、先輩にそのようにアドバイスをいただいたのです。

論述は正解例が提示されておらず、試験直前まで後回しにしてしまう方もおられるようです。しかし上記の観点から、論述&面接は表裏一体ですから、早い時期から過去問に取り組むことをお薦めします。ネットには様々な回答例が載っていて混乱することもあるかと思いますが、表現の仕方については自分なりのスタイルであって良いと思います。口頭試問での回答法(話し方)が様々であるのと同じくらい、論述試験の書きっぷりは様々であって良いと私は思うのです。□

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