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  3. 解決策が無くて行き詰まる ~どうにもならない事もある~
このコラムでは、キャリアカウンセリングにおいて、解決策を求めすぎて行き詰ってしまった、私の失敗談を語ります。
対象:、所要:3分

キャリアカウンセリングの目的は、クライエントの悩みに寄り添い、その解決策をご自身で見出していただくことです。解決策を見つけるのはクライエント自身であり、キャリアコンサルタントが誘導してはいけません。悩みの構造にクライエント自身が気付くことが重要であり、そうでないと、経験代謝でいうところの「意味の実現」には至りません。

しかしながら、キャリアコンサルタントは言葉に出さずとも、解決に至る幾つかの選択肢を思い浮かべながら話を聴いていることと思います。例えば二つの選択肢があったとしましょう。その選択肢を、好ましい(選択したい)、好ましくない(選択したくない)で場合分けすると、あり得るパターンは以下の3つです。

  • パターンA:どちらも好ましいが、どちらを選ぶべきか悩んでいる
  • パターンB:一方が好ましく、一方が好ましくない。ならば「好ましい」方を選択すれば良いはずだが、すんなりとそちらを選択できなくて困っている
  • パターンC:どちらを選んでも好ましくないので悩んでいる

パターンAはちょっと贅沢な悩みかもしれません。クライエントにとってどちらが本当に望ましいのか?いろいろな観点で内省してもらえば、よりよい行動に結びつけられるでしょう。

パターンBは最も多い例かもしれません。こうしたらよいと分かっていながら、そちらの選択肢に向かって突き進むことができない。そこに自己概念の揺らぎがあるパターンですね。この場合、ありたい姿に向かうことができないのは何故か? 内省を促しながら自ら気付いてもらうことになります。

パターンCは「どちらも嫌だ。他に何か選択肢はないのか?」という場合ですね。囚われの自己概念に縛られていて、どちらの選択肢も受け容れられないという場合であれば、それに気付くよう内省を促していけばよいでしょう。しかし、やるべきことを全てやった上で、その選択肢しか残されていない場合もあるようですね。例えば介護の問題で、「八方手を尽くし、公的助成などもすべて活用した。でも苦しくて限界!」などという場合がこれにあたるようです。ある講座で指導をしていただいた先生がおっしゃっていました。

私は「そういう場合はどうすればいいのですか?」と先生に訊ねました。すると「ただただ、その人の話を聴いてあげて下さい。解決策が見つからずとも、どうしようもない現実を言葉にして吐き出すことで、さっぱりした表情になって帰っていくクライエントの方もおられますよ。」と…

ついつい解決策が見えてこないと、「こうしたらどうですか?」、「こう考えてはどうですか?」と提案をしたくなります。また、「同僚の方には相談しましたか? その方はどう言っていますか?」と違う視点を探すような質問をしてしまいます。それでもダメだと、「う~ん、困りましたね…」と腕を組み、話が行き詰まってしまいます。

このようになってしまうのは問題解決を急ぐからですね。「八方塞がりでどうしようもないときは、ただただ話を聴き、ネガティブな事象に寄り添う…」 私はこの言葉を思い出すと、問題解決指向にブレーキを掛けられるのではないかと考えています。□

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