カウンセリングにおいては、要約という手法が使われます。クライエントがたくさんお話しをされたとき、その要点をまとめ、論点を明確にするために行われるものです。もしくはクライエントが語ったイメージと、キャリアコンサルタントが受け取ったイメージに違いがないか、それを確認するためにも用いられますね。
私は元来技術者のため、要約をし過ぎてしまう傾向にあります。技術的な問題を解決する際には、情報を箇条書きし、事実と推測事項に分けて整理します。時にホワイトボードにそれを書き出し、時間経過とともにまとめたり、分類していくクセがついています。マトリックスで上手く整理できたときなんて、アドレナリンが出ちゃうのですよ。ホワイトボードファシリテーションという会議進行テクニックがあるくらいで、私はこれを得意にしてきました。
このノリが捨てられない私は、クライエントが沢山話をされた場合、一言も聞き洩らさずに事実関係を正しく把握しようとするばかりに、要約を多用。しかし、その結果…
- メモをとってばかりで、クライエントに集中できなくなる(頭のメモリーが事柄の記憶でオーバーフローする)
- どうしても、事実関係ばかりを確認しているようになる
- 話の流れが乱れ、クライエントに気持ちよく語ってもらえなくなる
- クライエントがしゃべる量と、キャリアコンサルタントがしゃべる量のバランスがおかしくなる
といった問題が生じます。私は一旦要約した内容と、その後の発言が異なっているとき、「あれ?先ほどはこうおっしゃいましたが…」などと、真偽を問うような発言をしてしまったことさえあります。ここまでくると”職務質問”ですね。
私の場合、このクセを取り除くのに大分時間がかかりました。
まずやったのは「メモを取るのを止めること」。これには勇気が必要でした。長年染みついた習慣を手放すことは容易ではなく、とても怖いことでしたね。技術者の現場ではメモも取らずにボーっと聞いていると「お前、俺の言っていること、分かっているのか?」とドヤされましたから。(笑)
次に心がけたのは、「無理に要約することを止めること」。クライエントが如何に多くのことを話そうとも、”伝え返し”をするのは、印象的な表現もしくは最後のワンフレーズに絞ろうと腹をくくったのです。
これによって、カウンセリング時の頭の使い方が変ったように思います。以前は左脳全開モードで論理的に聞いていたのが、クライエントが何を訴えているのか、右脳でぼんやりと考えるようになりました。
技術系から対人支援職を目指そうとされる方はぜひ意識してみて下さい。両方上手く使い分けられるようになったら、鬼に金棒だと思います。□
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