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  3. 相談者の言葉は正確にまとめないといけないという思い込み
このコラムでは、「正確に要約することを手放すメリット」についてお伝えします。
対象: 、所要:3分

私はカウンセリングを学ぶ前、典型的な問題解決思考の人間でした。メーカーの研究所に勤務していましたので、日々起こる業務課題に対し、ありたい姿を描き、現状を明確にして… というスタイルが染みついていました。

”技術的な問題ではない”のに、散々その手法で相手をやり込めていました。相手が、ありたい姿や現状を語ると、その言葉をホワイトボートに箇条書きし、確認し、図式化して対策を立案。実行計画に落とすということを普通にやっていました。書き出された言葉に矛盾があれば、「これは、どう定義したの?」、「どっちが正解?」と相手を急かしていました。今思うと愚の骨頂であり、赤面してしまいます。

カウンセリングを学び始めたころは、この癖が抜けず、相談相手が発した言葉を正確にメモし復唱をしていました。相手の話が長くなると、「ちょっと待って!」と言わんがばかりに話を止め、「ここまでの話をまとめますと…」と要約を挟んでいました。”事態を正確に把握する”なんて言えば格好良く聞こえますが、”正確に復唱できること”を、自身の強みであると考え、それを誇示していたように思います。私が守りたかった自己概念ですね。

ロープレにおいて相手が一方的に話す方、すなわち自身の感情は語らず、事柄ばかりを朗々と語る方だと、更に悲惨なことになります。要約を繰り返しただけで、”お互いに”何も得るものがないまま、セッション終了。そんなことを何度繰り返したことか… 海より深く反省です。

「正確にまとめないといけない」という思い込みと、「自分はそれが出来る」というプライドを捨てたとき、ようやと要約癖を抑えることが出来るようになったと、私は思います。

なお、全て正確に要約することを手放すと、すごく楽になります。要約するためにフル回転していた脳みそのメモリーが解放されるのです。その分、相手の言葉のニュアンスなどに集中することが出来るので、「あっ? この人、とても辛い経験を”笑いながら”語った!」とか、「相談者は、”そんなことは、もうどうでもいいんですよねえ” と言ったが、どうやら本心は違うぞ…」といったことに気付くようになります。

相談者が長々と語ったとしても、”独特な表現”、”おやっと思った言葉”だけをポンと打ち返せばいいのです。”感情を露わにしないように朗々と語っていた相談者”も、ぴたりと止まり、内省が始まります。別に鋭いスマッシュ(要約&質問)で打ち返す必要はなく、ポンと優しく返せば良いのです。お試しあれ。□

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