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  3. キャリアカウンセリングにおいて大事にしてきたものを捨てる ~邪魔をするなら横に置く~
このコラムでは、私がカウンセリングに臨むとき、あえて捨てているものについて論じます。
対象: 、所要:3分

キャリアカウンセリングに臨む際、私は以下の能力をあえて抑えます。

  • 原因論に基づいた問題解決能力
  • 事態を正確に把握する能力
  • 批判的思考力(クリティカルシンキング)
  • 主観を取り除き、客観的事実を重視する能力
  • 戦略的思考力

どれも研究開発者として必要な能力であり、それを高めるための努力をしてきました。それらは今も私の自己概念の中核を成しています。しかし「来談者中心カウンセリング」を実施しようとしたとき、これらの能力はことごとくそれを邪魔するのです。ここで書いている数々の失敗談は、これらの能力が裏目に出た事例といえるでしょう。

だからと言って、これまで大事にしてきたものは簡単に捨てられるものではありません。執着(仏教では”執著”)してしまうのが当たり前です。私も未だ執着を捨てられた訳ではなく、いつかこれらの能力や、技術者としての経験を活かせる機会がないかと、”未練たらたら”です。

しかし何とか少し”抑えられる”ようになったのは、以下のように考えることが出来るようになったからだと思います。

  • カウンセリングは相談者のための時間。カウンセリングの場面で、私の能力を誇示する必要など全くないし、そのようなことをしたら、とても恥ずかしい。
  • カウンセリングに持ち込まれる悩みは、相談者の主観的なものであり、客観的な問題解決など意味が無い。
  • 一つの考え方に縛られるより、都度それに合わせた考え方を適用できる方がスマートである。

「捨てる」のではなく、執着しないようにすると言った方が良いかもしれません。自己概念の中核にありながらも、その所有権を手放す感じです。持っていることに価値があるのではなく、それを柔軟に使いこなせることの方が大事だと思えてきたのかもしれません。

手放すには勇気が必要かもしれませんが、第二の人生において新しいことを取り入れたければ、”空き”を作らないと入りません。一旦手放してみるのも悪くないと思います。そんなことで無くなるようなものなら、そもそも要らないのです。□

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