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  3. 不安に耐える能力を身に付けよう ~自身が健全でなければ部下はついてこない~

私の前職は自動車業界。100年に一度と言われる転換点にあり、CASEと呼ばれる技術革新が急速に進んでいます。日本は自動車産業だけの”1本足打法”と言われて久しく、国策として巨額の資金がつぎ込まれた国産航空機事業は、凍結されてしまいました。私の住む愛知県はモノづくり王国と言われますが、その強みだけにしがみついていると大変なことになるでしょう。

明るい未来を描くのもいいですが、技術者として来るべきネガティブな事象を冷静にイメージし、淡々と備えていくのも一つの方向性だと私は思うのです。この世は諸行無常、変わらないものなどないのです。

さて、このようなVUCAの時代において、中堅~ベテランの技術者は以下のような不安を抱えていることでしょう。管理職であれば、その不安は何倍にも膨らみます。

  • 自身が保有する専門技術は、いつまで使えるのだろうか?
  • 技術革新によって、陳腐化しないだろうか?
  • 専門としてきた技術領域自体、ニーズが無くなってしまうのではないか?
  • 急速に進展する、AI技術等によって代替されてしまうことはないか?
  • リスキリングが大事だと言われるが、何を勉強していいか分からない
  • 役員、部長からは、明確な指示が降りてこない。やるべきことは自分たちで考えろと言われるが、どうしていいか分からない
  • 部下からも、明確な指示を求められるが、自信を持って指示できない
  • やるべき技術について経営層を説得しなければならないが、「本当に儲かるのか?」と問われ、上手く説得出来ない
  • 部下がやっている最新の技術について、その内容が良く分からず、ついていけない
  • 一技術者、一研究者としてやってきたので、マネジメントは苦手
  • いつかマネジメントを外れたとき、最新の技術についていけるか不安
  • 部下に対し、1on1ミーティングを行わなければならないが、何を話していいか分からない
  • 部下のキャリアについて相談にのってやらねばならないが、自身のキャリアも描けない
  • 自身の後継者を育成したいが、部下はマネージャーになりたくないと言う

本当に悩みはつきないですよね。これらは、そう簡単に解決できることではありません。不安に耐える能力を身に付けることが必要なのです。管理職が不安に押しつぶされているようでは、部下はついてこないからです。

さて、ストレスへの対応法(コーピングといいます)には種々の方法がありますが、私が最強だと思うのは、マインドフルネス。第三世代の認知行動療法として位置づけられており、科学的な検証が進んでいる分野です。「瞑想?そんな宗教臭いものはお断り!」なんて、食わず嫌いはもったいない。「どうにもならない現実」を受容れつつ、そこに立ち向かう気力を養うのです。

但し効果が出るのに必要な期間はさまざま。1週間やってスグに効果が出る人もいれば、私のように1年以上経ってから実感する人もいるのです。いわば「自分自身に向き合う根気」が必要であり、継続するにはピアプレッシャー(仲間からの緩やかなプレッシャー)などを上手く利用する必要もあります。そのコツについては、人によりけりなので、ぜひご連絡下さい。僭越ながらアドバイスさせていただきます。

また、瞑想することだけがマインドフルネスではありません。ヨガは自身の身体に集中するので、マインドフルネス。ジョギングなどのスポーツに打ち込み、無になる瞬間もマインドフルネスです。紙に向かって心に浮かぶことを書き出す、ジャーナリングも書くマインドフルネスです。また食事の際、一口ひとくち味わいながら食べるのは、マインドフルイーティング。どんな行動でも、「今ここ」に集中し、その世界に在ることを感じられれば、マインドフルネスなのです。

ぜひ、マインドフルネスを実践し、ストレス耐性を上げ、VUCAの時代に立ち向かっていただきたいと思います。□

※マインドフルネスについては、「今ここをよく生きよう」の「マインドフルネス」の項を参照下さい。

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