ミドルシニアのエンジニアの皆様、キャリアアンカーってご存じですか? エドガー・シャインが提唱した仕事に対する価値観です1(詳しくはココ)。
| 専門・職能別能力 TF | 自分が得意としている専門分野や、職能分野での能力発揮に満足感を覚える。 |
| 経営管理能力 GM | 組織内の責任ある地位に立ち、自分の努力によって組織の成功に貢献し、その結果、高い収入を得ることに喜びを感じる。 |
| 自立・独立 AU | 組織の規則や手順、規範に束縛されない。自分のやり方、自分のペース、自分の納得する仕事の標準を優先する。 |
| 保障・安定 SE | 安全で確実、将来を予測でき、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいという欲求を優先する。 |
| 起業家的創造性 EC | 自身で新しい組織、製品、サービスを生み出して新しい事業を起こし、存続させ、経済的に成功させたいと強く意識する。 |
| 奉仕・社会貢献 SV | なんらかのかたちで世の中をもっとよくしたいという欲求に基づいてキャリアを選択する。 |
| 純粋挑戦 CH | 不可能と思えるような障害を克服する、解決不能と思われてきた問題を解決する、極めて手ごわい相手に勝つことが成功。 |
| 生活様式 LS | 個人、家族、キャリアのニーズをうまく統合したい(単なるバランス以上のもの)。 |
私は典型的な「専門・職能別能力 TF」の人なので、前職では専門性が活かせないとなった時点で、早期退職を意識しました。しかし、同じ年代の方でも価値観はさまざま。キャリアアンカーが異なれば、仕事に対する悩みも全く異なります。例えば55歳、60歳定年を間近にした方ならば、以下のような悩みがあるかもしれません。
| 専門・職能別能力 TF | ・自身の専門能力が活かせなくなってきた。異なる専門知識を身に付けて転身したいが、不安もある… どうすればいいか? ・現部署では専門性が活かせない。他部署や他社に行って、まだまだ専門的な仕事を生業としたい。どうしたらいいか? |
| 経営管理能力 GM | ・自身の経営管理能力を活かし、違う業界で働きたいが、不安もある。 ・自身の経営管理能力を活かし、もっと高い報酬を得たい。 |
| 自立・独立 AU | ・会社のやり方に納得できない。自分のやり方で仕事をしたい。 ・会社の枠に縛られず、自分で会社を興したいが、不安もある。 |
| 保障・安定 SE | ・再雇用制度を利用し、定年後も現在の会社で働きたいが、給与面が心配。 ・再雇用だと、職務権限がない。やりがいを持てるか心配。 |
| 起業家的創造性 EC | ・一念発起して起業したいが、不安もある。 |
| 奉仕・社会貢献 SV | ・もっと社会貢献につながる仕事をしたい。 |
| 純粋挑戦 CH | ・会社の中でも挑戦を続けてきた。退職後も挑戦を続けたいのだか… |
| 生活様式 LS | ・両親の介護をしなければならないが、仕事も諦めたくない。 |
どうでしょう? 技術者なら GMタイプは少ないかもしれません。AU、EC、CHならば、起業塾の門を叩くでしょうかね? ならば、私のような社外キャリコンのもとを訪れる方は、TF、SE、SV、LSでしょうか?(表中青字) 実際、これまでカウンセリングをさせていただいた多くの方は、いずれかのタイプだと思います(無論、現代の日本人の仕事の価値観が、全てこの8つに分類される訳ではなく、お悩みは多種多様です)。
いずれのタイプの方も「自身のキャリア実現を!」というガツガツタイプではなく、どちらかと言えば控えめな方が多いかと思います。でも、「悩みがある」ということは「大切にしたいもの」を持っている証拠なんです。ぜひ、それを大切にして下さいね。そして当相談室で、悩みを解きほぐして下さい。お待ちしております。□
■ ライフキャリア相談って何?という方へ
- キャリアとは何か ー狭義から広義へ、そしてライフキャリアへ
- カウンセリングにはどんな効果が期待できるのか?
- キャリアコンサルティングの効果と私の得意不得意
- キャリアコンサルティングと一般的なコンサルティングの違い
- 相談者の自己受容をお手伝い ―自分自身のありのままを認めて許すこと
■ 悩みが漠然としている方へ
■ メンタル不調を感じ始めている方へ
■ 中高年の技術者の方へ
■ 社内で相談できない方・相談しにくい方へ
- 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合 ―社外カウンセラーを活用して下さい
- 社外で壁打ちしましょう ―あなたのキャリアについて客観的視点が得られます
- しがらみのない社外のカウンセラーを活用しよう
■ 1on1やキャリア面談のやり方に悩む管理職の方へ
- 聴いてもらう嬉しさを知ろう ーそれを知らずに他人の話は聴けません
- 技術系のマネージャーさん、1on1の練習をしませんか?
- 1on1をめぐる上司/部下の言い分 ―どうすれば、お互いにとって有意義な場になるのか?
- キャリア面談をめぐる上司/部下の言い分 ―やって良かったという面談にするには?
■ 組織風土を改革したい方へ
■よくある悩み
- このキャリア理論は、アメリカ発のもの。WEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich, and Democratic)な面が多分にあると思いますので、日本人の現代の仕事の価値観が、全てこの8つに分類される訳ではありません。 ↩︎

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