
社内の人間関係で悩んだ時、その対象が上司であれば同僚、同僚であれば上司に相談することが多いでしょう。しかしながら、「言ってもどうにもならないし、文句ばかり言っている人だと思われると、人事考課の面で決してプラスにならない」と考え、黙っている人は多いですよね。自身に直接的な害が無いのならば放置するのが得策、そう考えるのは無理もありません。但し、そのような問題が放置されると、だんだんと職場の空気は汚染されていきます。
昨今、管理職は罰ゲーム化したと言われます。その一つの理由に「悪化した人間関係を改善させるのは管理職の仕事である」と考える風潮があるのではないでしょうか? 人間関係の悪化からメンタルを病んでしまう人も多く、休職となれば戦力ダウン。人手不足の昨今、人は補充されないし、管理監督責任も問われる… 職場とは関係なく、家族の問題などで休職してしまう人も居て、そうなると上司の手には負えません。管理職の悲鳴が聞こえてきます。
だからと言って、部下の日常行動をつぶさに観察し、不調の兆しを掴むことは簡単ではありません。管理職にも”自分の仕事”があるし、働き方が多様化する中、年がら年中顔を突き合わせている人ばかりではないからです。そんな中、部下の心に異変が起きていないか、チャット履歴や会議の記録をAIで監視し、アラートを出すシステムも出てきていますね(NHKクローズアップ現代、「管理職は“罰ゲーム”!?令和の最先端人事」)。
さて、「悪化した人間関係を改善させるのは管理職の仕事である」は本当でしょうか? 管理職にはメンバー同士の人間関係を調整し、個々のメンタルケアをする力があるのでしょうか? 無論、出来るに越したことはないですが、そんな専門教育は受けていません(「メンタルヘルス研修」が関の山です)。そもそも、そんな能力は人事考課の項目に入っていません。「あの人、人間関係のトラブルを解消する能力に長けているし、部下の精神的ケアも出来る人だから出世したんだよね」って管理職は居ますか? その能力は大事だと皆分かっているのに、他の能力を優先し、管理職に登用してきたんです。だから出来なくて当たり前なんです。習っていないのに求められる…だから罰ゲームなんです。
管理職の皆さん、メンバーの皆さん、ぜひ社外の力を使って下さい。キャリアコンサルタントは職場の人間関係や仕事上の悩みを聴くプロです。特定の人に対する不平不満を吐露したところで、守秘義務がありますので、それが本人に伝わることはありません。相談者の人事考課をする訳でもありませんから、思う存分愚痴っていただければいいんです。ただ「呑み屋での愚痴」と違うのは、その背景にある自身の気持ちに気付いてもらうことが、カウンセリングだ…ということです。単にスッキリするだけでなく、「何故そう思ったのか?」自身の心の深い所に気付いていっていただくのです。
実は気付きがあると、その先「どう行動するか?」もしくは「行動しないか?」は決まります。他の誰でもない、自分の意志として決まるのです。それがカウンセリングだと私は考えています。□
”カウンセリングのすすめ” シリーズ
カウンセリングやコンサルティングに疑念を持っておられる方へ
悩みが漠然としている方へ
メンタル不調を感じ始めている方へ
中高年の技術者の方へ
社内で相談できない方・相談しにくい方へ
1on1やキャリア面談のやり方に悩む管理職の方へ
組織風土を改革したい方へ
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