私は前職において、職場風土の改善活動を担当していました。他社の優れた取組みを紹介したり、大学教授を招いて講演やワークショップを行っていました。私は自部署の社員に、その気になってもらうことに必死だったのです。しかし、社員の反応は冷ややかでした。
- 中小企業での事例を紹介すると、「中小だから出来るんだよね。うちは大企業だから…」
- 同じ製造業の事例を紹介しても、「業界が違うから…」
- 同じ研究機関の取組みを紹介しても、「あそこは先端のIT企業だから…」
どうしても「自社との違い」に関心が向かうのですよね。「ウチでは上手くいかないであろう原因を探し、それを解決するための手段を考える」なら良いのですが、「やれない理由を探し、思考停止」になっていました。「ウチにはウチの特別な事情があるので、この事例のようには上手くいかない…」と何度も言われました。
何を隠そう、私にも同じように考えるクセがありました。しかし風土改革の活動を行う以前に、その考え方は払拭されていました。技術系管理部門の担当者が集まる、異業種交流会の場に参加していたからです。同会には誰もが知る大手メーカーから中堅企業まで多くの方々が集まり、技術系管理部門で問題となっている、人材育成や風土醸成、新規事業創生などについて議論されていました。
私も参加するまで「自社の業務に関わるようなこと、話せる訳ないじゃないか?」と思っていたのですが、あら不思議… 自社で問題となっているようなことって、他社でも問題となっているんです。そして、それを解決すべく、種々の取組みが行われている。勿論、具体的な技術の内容に関する機密事項は話せませんが、「共通する課題」でいくらでも議論が出来るんです。
「ウチには特別な理由があるから」と言って、言い訳ばかりしていてはもったいない。私はいつしか、「共通する課題に目を向け、解決法のエッセンスを取り込むこと」に必死になっていました。
個人のお悩みも一緒だと思います。多くの皆さんが、似たようなことで悩んでいる。「自分の悩みは特別…他人の事例は役に立たない」と思うのは、とても自然なこと。悩みの背景には、それぞれ個別の経験があり、一般化出来るものではありません。
しかし共通部分に目を向けると、解決の糸口が見つかる場合も少なくありません。特に、同じ業界、職種、年代の方の事例には、共通項も多いものです。車座でワークショップをやると、「悩んでいるのは自分だけではないのだな…」と気付くことがありますが、それと同じ。それだけでも、心は癒されるものです。
ぜひ、当相談室にお越し下さい。あなたの特別な経験を聴かせていただければと思います。そして、何か皆と共通する課題に気付き、次の一歩が踏み出せるように、お手伝いさせていただければと思います。□
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コメント
似たようなことで悩んでいる方が他にもいると知れるだけでも、少し気持ちが楽になりそうですね。