前回は、身体に不具合が出て、メンタルクリニックに行かなきゃならなくなる前に、カウンセラーに相談しましょうという話をしました。身体の病気も心の病気も、早期発見~早期治療が重要であり、これはダメージを最小限化するとともに、社会復帰までの期間を最短化します。
さて何故、早期発見が出来ないのでしょうか? 定期健康診断を受けていないからでしょうか? 会社でストレスチェックは受けていますよね? しかし、これらの結果は一瞬見ておしまいの方が多いのではないでしょうか? 「うわっ、再検査だ!」となっても、配偶者にも見せず、そのまま封筒に戻す… そんな経験はありませんか?
そうなのです。いくら定期検査を受け、客観的なデータとして提示されても、ご自身がそれを受け容れられない限り、次のアクション(再検査・治療)は起こせません。人によっては検査を受けることが目的になっていて、「俺は検査を受けているから大丈夫だ!」という方も居ます。「じゃあ、結果を見せて!」と言うと、とんでもない数値が… なんてこともあります。

ストレスチェックにおいては、もっと酷いことが起きます。調査は質問紙法により行われます。つまり自己診断です。「この忙しいのに、こんな調査しやがって!」という方は、0~10段階で答える調査において、全部5に〇を付けたりするのです。質問を読んで考えるのが面倒だったり、「うるさい、俺の事は放っておいてくれ!」という方は、そのようにするようです。闇は深いですね… 私は前職において、高ストレスの方だけでなく、そのような回答をする方についても、注意を払っていました。
前回書いたように、現代社会に生きる皆さんは、ご自身の体調変化に対する感度が衰えているのです。センサが壊れているのか、その信号を受診する脳が壊れているか… もしくは気付いているのに、思考がそれを無視している状態でしょう。仕事が忙し過ぎて、見るからにやつれているのに、ご本人は大丈夫と言います。
このような状態になってしまっている方に対して、私は二つのアドバイスをしたいと思います。
- 自分で自分を大切にしましょう
- 身体の異変に気付くよう、センサの感度を上げましょう
誤解を恐れず言いますが、我慢に我慢を重ね、体調を崩してしまわれる方は、「自分を大切に出来ない人」です。我慢とは耐え忍ぶという意味合いで使われますが、元々は仏教語。「自分に執着した結果として自分を高く、他人を低く見る、慢心のこと」を示します。「私はこんな辛い状況にも負けずに頑張れる!」と自らを高く評価しているのです。プライド(自分が自分を好きでいられる理由)といってもいいかもしれません。
もちろんプライドは大事。それが無ければ、何も成し遂げられないと私は思います。しかし、過度に自分に拘り、身体を壊してしまっては元も子もありません。何事も塩梅が大事です。私のカウンセリングでは、それをお伝えしています。
また身体の異変に気付くよう、センサの感度を上げるための方法についても、お伝えしています。その基本は”調身(ちょうしん)”です。身体を調えるための具体的な方法を、その人に合った形で提案しています。禅では「調身・調息・調心」と言われており、心を調えるには、息を調える、息を調えるには身体を調えるという教えです。心(メンタル)が乱れたら、息(自らの心と書きます)を調え、身体を調えるのです。
この方法を学ぶことは、メンタルダウンを繰り返さないためにとても重要。身体の不調を薬で和らげただけでは再発します。調身方法を学び、実践し、習慣化することは、再発を防止するだけでなく、あなたの人生を豊かなものにするでしょう。
私は自身の経験から、種々の調身方法をお伝えすることが出来ます。マインドフルネス瞑想はとても有効な方法ですが、スピリチュアルな感じを嫌う方には、他の方法を提案します。安心してご相談下さい。□
”ライフキャリア相談のすすめ” シリーズ
■ ライフキャリア相談って何?という方へ
- キャリアとは何か ー狭義から広義へ、そしてライフキャリアへ
- カウンセリングにはどんな効果が期待できるのか?
- キャリアコンサルティングの効果と私の得意不得意
- キャリアコンサルティングと一般的なコンサルティングの違い
- 相談者の自己受容をお手伝い
■ 悩みが漠然としている方へ
■ メンタル不調を感じ始めている方へ
■ 中高年の技術者の方へ
■ 社内で相談できない方・相談しにくい方へ
- 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合 ―社外カウンセラーを活用して下さい
- 社外で壁打ちしましょう ―あなたのキャリアについて客観的視点が得られます
- しがらみのない社外のカウンセラーを活用しよう
■ 1on1やキャリア面談のやり方に悩む管理職の方へ
- 聴いてもらう嬉しさを知ろう
- 技術系のマネージャーさん、1on1の練習をしませんか?
- 1on1をめぐる上司/部下の言い分 ―どうすれば、お互いにとって有意義な場になるのか?
- キャリア面談をめぐる上司/部下の言い分 ―やって良かったという面談にするには?
■ 組織風土を改革したい方へ
コメント