1. ホーム
  2. キャリアコンサルタントの部屋
  3. エンパワーメントの場としてのロープレ勉強会 ~勇気づける場の心地良さ~

私は自身が受験生であった頃から3年弱に渡り、ロープレ勉強会に継続的に参加してきました。この会で学んだことや人脈は、人生の宝物になりました。今では、共に学んできた受験生の皆さんが資格を取得され、「私も後進の皆さんの力になりたい」と言っていただく方も増え、そのマインドを伝承していただけるまでになりました。諸先輩方が作られたこの流れに感謝しています。しかし、なぜこれほどまでに、この場が心地良いのでしょうか? その理由は、僅かなトラブルはありつつも、安心安全な場として保てていることと、エンパワーメント(勇気付け)の場となっているからでしょう。

エンパワーメントとは、「個人や集団が自らの生活への統御感を獲得し、組織的、社会的、構造に外郭的な影響を与えるようになること」であり、「広義のエンパワメント(湧活)とは、人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させること」(Wikipedia)です。

国家資格キャリアコンサルタント試験は、相対評価では無く絶対評価の試験です。すなわち、養成講座のクラスメイトは共に学び合う仲間であり、蹴落とす対象ではありません。しかしながら、世にある絶対評価の資格試験が全てそうかと言えば、そうではないでしょう。「みんなで合格するぞ!」と言っても、少なからず周りとの闘いを意識するのではないでしょうか? 

しかしながら、この試験には実技試験というものがあります。逐語録を読んで回答する論述試験と、インテーク面談を模した面接試験があるのです。前者には模範解答がないので、仲間とともに学ぶしかありません。また後者は、仲間内で練習会(いわゆるロープレ)をしないと上達しません。二つの実技試験に受かるためには、受験生同士、相互に学び合う場が必要となるのです。我々が行ってきたのは、諸先輩が受験生同士で行ってきた勉強会に、有資格者(ホルダー)が加わって行う勉強会でした。

図らずも、これはエンパワーメントの場であり、お互いが勇気付けを行いながら合格を目指し、合格後は資格を活かし、社会変革の道を探る場となっていました。このような場は、企業に在籍しているのであれば、なかなか得難いものです。出来たら素晴らしいですが、なかなか出来ないものです。

また度々ロープレを行っていると、お互いの本業のことや人間性の深いところに触れることになります。年代や組織における立場も様々であり、多種多様な方が資格取得を目指しているのです。そのような姿に接するうち、D&I(Diversity&Inclusion、多様性と包括性1)の意識が育まれると私は思いますし、それはキャリアコンサルタントに必要とされるものです。ロープレ勉強会はエンパワーメントを体感し、D&Iを育む場であったのです。

あるとき、二度目の受験となった方が、試験当日の朝、私にLINEのメッセージを送ってくれました。そこには「今から闘いに行きます!」とありました。私はその方の顔を思い浮かべながら、「いいやいや、〇〇さん、この試験は絶対評価だから、周りの皆と闘う訳ではありません。どうぞ、肩の力を抜いて、ご自身と闘って下さい…」と返信しようとしました。

そこでふと気が付きました。この方は技術者で製造問題解決思考が極めて強い方… そんな自分を変えようと必死にもがき、勉強会に参加されてきた方なのです。私が指摘するまでもなく、闘おうとしている対象はご自身だったのです。

そんな関係性を持てたのも、ロープレ勉強会がエンパワーメントの場であったからだと、私は思います。その方は見事合格しました。このような場作りに関わることが出来て、本当に感謝しています。□

  1. 最近は、公平性 Equity を加えてDE&Iと呼ぶのが一般的です。 ↩︎
\ 気に入ったら、いいね&シェア下さい/