私は今年、前職を早期定年退職しました。会社でキャリアを声高に叫んでいると、”意識高い系”としてウザがられる傾向にあり、なかなかやりたいことが出来ません。そこで「自分のキャリアは自分で切り拓く!」と意気込んで辞めたのです。あれから半年あまり経ちますが、知人に会うと「仕事どう?」という言葉の後に、「その退職、成功だった? 失敗だった?」という、無言の問いが聞こえてきます。もちろん声に出しては言いませんが、ハッキリ顔に書いてあるのです(笑)。
私は同世代の技術者・研究者のキャリア支援をしたかったので、関連情報をググっていると、類似情報が次々にリコメンドされるんですよね… Googleさんはお見通しで、「大手企業を早期退職制度で辞めたものの、最低賃金でアルバイト」とか、「会社での肩書使えず、誰も相手にしてくれない」なんていう失敗事例がどんどんリコメンドされるのです。時には「前職の頃から副業で人脈を広げ、キャリコンとして大きく羽ばたいた!」なんていう、大手企業出身の元人事部長の成功事例もありますが、ご立派なご経歴にひれ伏すのみ…(笑) 「キャリコンには人事部での経験が大きいよなあ…」などと羨んでしまいます。
そうなると当然ながら、「今回の早期退職~独立は成功だったのか 失敗だったのか?」なんて言葉が頭に浮かびます。知人に会ったとき浮かんだ問いは、私が勝手に思っていることなのかもしれません。「辞めて正解だった」と言いたいが為に、この半年間、もがいてきたと言ってもいいでしょう。
成功と失敗を分けるのはトータルの年収? そのときの時間軸は? 60、65、70歳? いや金の問題じゃないだろ? 会社辞めて、体調は遥かに良くなり、ストレスは激減した。そう考えれば安いもんだ… あれ、また金か? 本当にやりたいことやれる個人事業主なら、それでいいじゃないか… などと自問自答を繰り返しているうち、「キャリアチェンジを成功・失敗で考えること自体に意味があるのか?」と考え始めている自分がいました。
そんな考えに縛られていると、死ぬ間際になって「俺の人生は、成功だったのか、失敗だったのか?」と考えるだろうなと… それは余りに切ない(泣)。化けて出るかもしれません。
前職サラリーマン時代は、なんやかんや言いつつも、成功・失敗という尺度でモノを考えていたんですねえ。それに気が付いただけでも、だいぶ楽になりました。「愉しければ、それでいい!」なんて、能天気なこと言うつもりはありません。しかし「仕事の意味」を問い続けるのがキャリアコンサルタントですから、自分を題材として深く考えられることは良いことだと、私は考えています。□