以前ここでも延べたように、論述試験で問われていることと、面接試験で問われていることは、ほぼ同じです。問い3は主訴を問うており、問い4は今後の進め方を問うています。よって、以下のような質問をすれば、経験代謝を意識したカウンセリングをしようとしていたのか否か、だいたい分かってしまいます。
- 相談者の来談目的は何でしたか?
- 相談者はどんな価値観を大事にされている方ですか?
- どんな経験をして、その価値観は揺らがされましたか?
- 貴方が再現しようとしたのは、相談者のどんな経験でしたか?
- 経験の中に、どんな景色が見えてきましたか?
経験代謝のサイクルを意識していれば自然に答えられますね。これらをまとめれば、主訴は明らかです。
- 相談者は~で悩み、相談に来ました。
- 相談者は~であること(もしくは”~でありたくないこと”)を大事にしてきました。
- しかし、~な経験をすることで、その価値観が揺らがされ、悩んでおられるようです(=主訴)。
これを確認した上で、「さあ、それではこの後どう進めますか?」(問い4)と訊ねれば、キャリコンとして、どう相談者に向き合おうとしているのか見えてきます。キャリアコンサルタントである貴方は、
- この相談者は、どんな悩みを持ち、何を聴いて欲しくて、ここに来たんだろう?
- この相談者は、何を大事にしている人なんだろう?
- その価値観が揺らがされるような経験をしたんだよね? それはどんな経験なんだろう? 相談者の目線で見てみよう。
という好意的関心を持って関われば良く、主訴は自然に明らかになってくるのです。
ちなみにカウンセリングがとても上手く進められ、面接官の方が『あぁ、この受験生、しっかり経験代謝を意識していて、主訴を訊くまでもないなあ…』と判断された場合、全く違う質問が飛んでくるかもしれません(笑)。例えば『~な話になったとき、~と質問されましたよね? それは何故ですか?』など、質問の意図を確認されるかもしれません。それは、より高度な質問ですから、慌てることなく感じたままに答えれば良いでしょう。『主訴なんて問われなかった。何かやらかしてしまったんじゃないか?』などと焦る必要はありません。試験官の方と、カウンセリングの余韻を味わえば良いのです。□
■口頭試問シリーズ