カウンセリングのすすめ(13) ~セカンドキャリアの考え方~

カウンセリングのすすめ
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企業に勤める研究開発職の方は、自身の存在意義を以下のように捉えているのではないでしょうか?

  • この技術領域における社内の第一人者は自分である。
  • 私の開発した技術が、当社製品のコアとなっている。
  • これまで沢山の技術レポートを残してきた。この通りにやれば再現は出来るが、実際には明文化出来ないノウハウがある。
  • これまでの経験の中で培ってきたノウハウこそが私の財産であり、この会社における、私の存在意義である。

このように言い切れることは、とても素晴らしいことですね。私は新しい装置の開発を手掛けてきましたが、製品として世に出したものはごく僅かであり、その多くは日の目を見ることがありませんでした。早期退職する際に、自身が管理する古い資料を大量に廃棄したのですが、苦労して取った実験データのファイルを見るにつけ、頭の中には中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」が流れていました(泣)。

従来の技術が陳腐化することは避けられず、常に新しい技術に取組まないと、職場における自身の存在意義さえ怪しくなっていきます。これは研究開発職に限ったことではなく、マネジメント職や企画職に転じた場合でも同様であり、職種・職位に応じた新しいスキルを身に付けなければ、生きてはいけません。常にリスキリングが求められているのです。


さてミドルシニアがセカンドキャリアを考える際、その方向性を、Will-Can-Mustのフレームワークを使って整理すると以下のようになるでしょう。

  • Can(出来ること)が減らないように、今まで以上に努力する。既存領域を強化するか、新領域を開拓する。あくまでも、”出来ること=価値あること”の価値観を貫く。研究開発職では、企業でのCanを強化して、大学などの研究機関に転身する方もおられます。
  • Must(求められること)が異なる、違う職位・職種(役割)に鞍替えする。例えば、研究の第一線からは退いて、後進の指導に特化するなど。ポータブルスキル(業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力)を明確にし、キャリアチェンジを図ることは、「Canを活かしながらMustを変える」ことだと言えるでしょう。
  • Will(夢)を見直す。①Mustを変えることに伴い、Willも変える、②本業でWillを求めることを諦め、副業でWillを実現したり、プライベートでのWillに切替える。「自分で技術を開発する」から「部下の技術開発を支える」というのは、立派な夢の転換です。
  • Will-Can-Mustの何も変えず、ひたすら”停められる年”まで働く。仕事でWill-Can-Mustを満たすという考え方自体を捨てるという選択肢もあります。

このように、技術職は”Can”の枠から、そのバランスが崩れていくため、何れかの枠を調整せざるを得ないのです。”出来ること=価値あること”という価値観に縛られていると、だんだん厳しくなっていくことは否めません。doing(行い)からbeing(在り方)へ価値観をシフトしていくことが、セカンドキャリアを考える際にとても重要。私が「技術者のWell-beingとは何か?」を問い続けているのは、そのような理由からです。同世代の皆さま、ぜひお話ししましょう。ライフキャリア相談室でお待ちしております。□


~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~

  1. どんな効果が期待できるのか?
  2. 私の得意不得意
  3. 身体の不具合が出る前に
  4. 自分を大切にし、センサの感度を上げる
  5. 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合
  6. 聴いてもらう嬉しさを知ろう
  7. 就職・転職とは関係なくてもいいんです
  8. オンラインカウンセリングの良さとは
  9. 一般的なコンサルティングとの違い
  10. 中高年の技術系社員の悩み
  11. 相談者の自己受容をお手伝い
  12. 何に悩んでいるか説明できない
  13. セカンドキャリアの考え方 本投稿
  14. 技術系専門職の皆さまへ
  15. 同じような悩みを持っている人はたくさん居る
  16. 組織を対象としたカウンセリング
  17. 1on1の練習をしませんか?

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