私の経験では、中高年の技術系社員が抱えているお悩みには、以下のようなものがあります。無論、お一人おひとりのお悩みの背景には様々な経験があり、一般化することは出来ません。但し、自分以外の誰かも同じようなことで悩んでいると知れば、気持ちは楽になり、解決の糸口も見つかるかもしれません。そこで今回は、50代の技術系社員にありがちなお悩みについて、抽象化してご紹介しましょう。
- ご自身の処遇、担当業務に関する悩み
- 対象技術領域の変更に伴う悩み
- 再雇用に関する悩み
- 役職定年に伴う悩み
- 年下上司、年上部下に関する悩み
- やる気のない部下・上司に関する悩み
- 部下や同僚の発達障害やメンタル疾患に関する悩み
- ご自身の病気の治療と仕事の両立に関する悩み
- 親の介護と仕事の両立に関する悩み
- ご子息の就職・転職に関する悩み
実際のお悩みは、各項目が複雑に絡み合っています。ここでは、「ご自身のWill-Can-Mustに関する問題」、「制度の問題」、「人間関係の問題」、「プライベートな問題」に分け、当相談室での関わり方について説明いたします。
ご自身のWill-Can-Mustに関する問題
50代技術系社員には①マネージャーの道を歩んでいる方と、②一技術者として実務に当たっておられる方に分かれるでしょう。どちらも50代ともなれば、色々なお悩みをお持ちです。マネージャーならば…
- 如何に部下のモチベーションを上げながら、組織として成果を出すか?
- 技術者の多様性を活かし、社内外の関連部署と連携をしていくには、どうしたらいいか?
などの悩みがあるでしょう。上司から適切な評価が受けられ、部下も協力的であればいいのですが、そうとも限りません。上司と部下とに挟まれ、コミュニケーションに悩みながら「割に合わないな…」と感じる方も多いようです。「マネージャーは罰ゲーム?」などと言われる時代、如何にして会社からの期待(Must)に応え、マネージャー職を全うするか? これが主題となると思います。
またマネージャーに対しては、日々の1on1ミーティングを課す会社も多くなりました。しかしながら、「傾聴が大事と言われるが、どのように1on1を進めれば良いのか分からない」という方も多数おられます。私はキャリコン仲間の勉強会で、多数のフィードバックしてきた経験がありますので、そのコツをお伝えすることが出来ます。技術系の方が陥りやすいパターンがあるのです。この場合は複数回に分けて進めると効果的です。
一方、一技術者の方には、実務能力の維持向上が求められます。これは他人が思うほど楽ではありません。日常的な業務をこなしながら、常に新しい技術を取り入れなければ、VUCAの時代を生きていけず、以下のようなお悩みが生じます。
- 自身の経験やスキルは、今の会社に求められていないと感じることが多くなった。若い同僚がやっていることについても、理解が追いつかない。
- 会社方針が変わり、入社以来、携わってきた研究領域から撤退することになった。新しい領域の探索を始めたが何をすべきか分からずに困っている。
- 機械系技術者としてやってきたが、デジタル人材として転身が求められている。実はプログラミングは苦手なんだけれど、どうしたらいいか?
- ポータブルスキル(他社に行っても使えるようなスキル)を明確化して、自律的なキャリア形成をせよと言われるが、どうやれば良いのか分からない。
- この分野においては、それなりに実績を上げてきた。関連子会社への転籍話はないものか?
- 数年上の先輩Aさんは、再雇用の道を選んだ。その姿を見ていると、全く覇気が無い。給料も極端に減額されるようだし… あのようになるならば、退職した方がいいかもしれない。でも退職したところで、特にやりたいことも無いし… どうしよう?
技術職は主に「どんな知識を持っていて何が出来るか?(Can)」で周囲から評価されます。自己肯定感も「自分が出来ること」に大きく作用されるでしょう。しかし、それが陳腐化していくことは避けられません。ならば、とるべき道は3つになるでしょう。
- 出来る事(Can)が減らないように、スキルを維持向上させることを目指すか?
- 求められること(Must)が変わったことを受け容れ、違う役割を果たすか?
- 前からやりたかったこと(Will)に舵を切り、違う仕事に転身するか?
無論、今を耐え忍び、定年~再雇用を迎えるという選択肢もあるでしょう。ご自身にとって何が最も望ましいのか、一緒に考えていきましょう。
制度の問題
「予め定めた年齢に達した社員が部長・課長などの役職から退く制度」として、役職定年制度を採用している企業は、まだまだ多いようですね。大企業では4割もの企業が採用しているという調査結果もあるようです。組織を活性化するというメリットはあるようですが、その対象者は悩みます。
- 役職定年となり、マネジメント業務をしなくて良くなった。実務に戻ることになったが、以前とは環境が異なり、関連部署の担当者との人脈も無く、業務が上手く進まない。
- 新しい上司は他部署から来た年下の人。この部署のことは良く知らないのに、新しい管理指標を押し付けてくる。都度、衝突してしまい、大きなストレスを感じている。
人事制度については、如何ともし難いですが、どう対応したらよいのか一緒に考えていきましょう。事情を知らない部外者だからこそ、解決のヒントが得られるかもしれません。
人間関係の問題
年功序列制度は崩壊していますので、「年下上司、年上部下」は珍しくありません。そんなことを問題にしていたら、サラリーマンはやっていられないですね。但し年齢・役職問題と「仕事が出来ない」、「やる気がない」が絡むと、悩みは大きくなりますね。「やる気がないのに職位が上。あの上司だけは許せない…」などの悩みです。
これに対して、最近特に多いのは、「やる気のない部下」、「言ったことを守ってくれない部下」に関するお悩みです。「仕事の進め方などに対する拘りが強く、意思疎通が取れず、言った通りにやってくれない。パワハラになってもいけないので、強く指導できない。単に自分と相性が悪い訳ではなく、他部署でも同じような行動をしており、困っている」といった問題も増えています。部下や同僚の発達障害やメンタル疾患に関する悩みも多くなっています。
社外カウンセラーとしては、その現場を見ている訳ではなく、一方だけの言い分で〇〇障害だ、〇〇病だと断定することは出来ません。このようなお悩みについては、関係者を巻き込みながら解決策を探っていくことが望ましいと私は考えています。丁寧に事実関係を確認しながら、相談者がとるべき行動だけでなく、種々のアプローチを提案させていただきます。
プライベートな問題
50代ともなれば、ご自身の病気や親の介護と仕事の両立に関するお悩み、ご子息の就職・転職に関するお悩みも多くなります。前者については、社内で相談窓口を設けている場合も増えており、適切なサポートも受けられるようですので、まずは社内でご相談下さい。
一方、後者については会社ではどうにもなりません。高校、大学とも就職支援窓口は充実しているようですが、なかなかお尻に火が付かず、就職活動に出遅れてしまう学生さんも多いようですね。早く活動を始めたのに、自分が何を目指していたのか分からなくなってしまう方もおられるようです。
私は大学のキャリアセンターで働く知人から、「本当に支援が必要な学生ほど、窓口に来てくれない」と聞いたことがあります。このような方々に対しては、じっくりとお話しを聴いていくことが、何よりも肝要です。当相談室では親御さんからのご依頼も受け付けておりますので、まずはお声かけ下さい。
中高年の技術系社員の方におかれましては、上記のようなお悩みが多いようです。いずれの場合においても、丁寧にお話しを聴かせていただきます。どうぞお気軽にお声かけ下さい。初回の無料カウンセリングでお待ちしております。□
~ ”カウンセリングのすすめ” シリーズ ~
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- 私の得意不得意
- 身体の不具合が出る前に
- 自分を大切にし、センサの感度を上げる
- 社内でキャリコンによる面談が受けられない場合
- 聴いてもらう嬉しさを知ろう
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