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  3. アフターコロナのコミュニケーション ~キャリコンとして考えること~
このコラムは、NHKスペシャルを視て考えた、アフターコロナのコミュニケーションについて私見をまとめたものです。
対象:  、所要:3分

新型コロナウィルス感染症が2類から5類への引き下げとなり、アフターコロナの時代がやってきました。先日、野球観戦に出かけたのですが、かなりの方がマスクを外されていますね。

そんな中、「NHKスペシャル アフターコロナ 人と会うのがツラい ~科学で解明!心の異変~」を拝聴しました。キャリアコンサルタントとして考えさせられることが沢山ありました。幾つか気になったことを紹介します。

人と会うことの怖さ

「元来、人付き合いが苦手なわけでもないのに、コロナ禍を経たら、人と会うことが怖くなってしまった若者」が紹介されていました。これはマウスを使った動物実験や人を対象とした実験でも確かめられているとか。これは生物として自然なことなんですね。 中脳と呼ばれる部分で感じる、”人と会うことの喜び” が小さくなってしまうようです。

もちろん人の性格にもよりますが、「人と会うことの怖さ < 人と会うことの喜び」となったとき人に会いに行けると、私は理解しました。これはカウンセリングやコーチングの場面でも全く同じであって、「カウンセラーに自己開示することの怖さ < カウンセリングで得られる喜びもしくは期待」とならないと、相談には行けません。

私はある方から、「良質なカウンセリングを受けた経験はありますか?」と問われたことがあります。相談者として良い経験をしていることが、良いカウンセラーになるためには必須条件なのです。”カウンセリングでの喜び体験” を少しでも増やしていきたいと、心新たにしました。

コミュ力至上主義

ひきこもりを研究する、筑波大学の斎藤 環 教授が、おっしゃっていた言葉が印象的でした。

社会全体としてコミュ力(コミュニケーション能力)偏重 コミュ力が高くないと評価されないところがある。無理してコミュ力が高いふりをしなきゃいけないという圧がある。ひとりでいる自由や立場が脅かされている状況がある。

(同番組テロップより引用)

私は前職において周りの技術者に対し、「これからの技術者はコミュ力が大事!会社での研究は、社内の関係者を説得し、動かさなければ意味が無い!」と言っていました。これは技術者として私が学んだことであり、正論と思って声高に叫んでいたのですが、ちょっと主張が強すぎだったかもしれません。特に若手社員への物言いには気をつけなきゃいけなかったと、今更ながら反省しました。

私のようなオッサンが若いころはリアルしかなかったので、人に傷つき人を傷つけながらも、人間関係を学んできたように思います。「金八先生」世代ですね。中学校は、”分かりやすく” 荒れていました。現代はコミュニケーションの場面においても、”失敗をしにくい時代” なのかもしれませんね。

マスクをしているとネガティブ感情が読み取りにくい

私は第18回キャリアコンサルタント試験(21年11月)を受けました。コロナ禍真っ盛りでしたから養成講座(同年4~7月)はマスクと衝立が必須。講師の先生やクラスメイトの素顔さえ知らないうちに講座は終了。その後、Zoomでのロープレ勉強会で、初めて皆さんの素顔を知りました。

試験もマスク&衝立。私はカウンセリングの際、音声情報に頼る傾向がありますが、加齢によって肝心の聴覚が劣化してきました。相談者との距離が遠く、衝立で遮られるだけでも辛いのに、マスクで表情が読み取りにくいことは大きなハンデとなりました。

この番組では、マスクをすることによって感情がどれだけ読み取りにくくなるのか調査した結果を紹介していました。悲しみ、恐怖、嫌悪といったネガティブ感情は、口元に表情が出やすく、マスクをすると正答率が下がるのだそうです。

キャリアカウンセリングでは、ネガティブな感情にしっかり寄り添う必要がありますから、マスク装着によって悪影響があるのです。さてさて、次回23回試験において、マスク&衝立はどうなるんでしょうか?

リモート会議では感情の同期が起こりにくい

Zoomでのロープレ勉強会を続ける中、「リモート会議では共感しにくい」ということは何となく感じていました。しかし私はヘッドフォンでしっかり音声を拾えていれば大丈夫…と考えていました。無論、カメラでこちらの表情を伝えることなどには十分配慮しました。

しかし… リモートだと伝わらないんですねえ… リアルだと話すうちに脳活動が同調していくようですが、リモートだと全然ダメなんですねえ。いくらこっちが盛り上がっているつもりでも、上の空ということです。私は前職においてリモート会議で沢山の研修を行っていましたが、今更ながらショックでした。

SEL(社会感情学習)の広まり

リモートでは情報コミュニケーションは出来ても、感情コミュニケーションがうまくいかない… こんな現実を打破するために、米国の教育機関で行われている、SEL(Social & Emotional Learning:社会感情学習)が紹介されていました。

これは、種々の研修でもよく用いられる方法ですね。キャリアコンサルタントの養成講座の中でも度々行われていました。私が受講した講座では朝一、講師の先生が話題提供をし、それを呼び水にするようにしてグループ内で懇談をするのです。ポイントは「私はどう感じたか?」です。これを毎回行うことでクラスメイトの人間性が分かり、ロープレのときのハードルも下がるのです。

また前職の会社では、Check-inというワークを会議開始時に行っていました。いきなり議事に入るのではなく、お題に沿って参加者が一言発するのです。これによってその後の議事進行における発言のハードルが下がるという効果を得ていました。

会社では”情報”コミュニケーションに偏重しがちです。いや、むしろ感情なんて語れない雰囲気があるかもしれません。しかし効率一辺倒な世の中だからこそ、”感情”コミュニケーションを行える場を意図的に作っていく必要があるのです。□

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