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  3. 技術者のWell-beingとは? ~PERMAHの観点で考える~

札野教授が提唱する技術者倫理教育は、Professional としての技術者の在り方を問うものであり、Well-being(今ここをよく生きること)を目的とします。昨今Well-beingと言うと「自分に甘く、ゆる~い生き方」のようなイメージで語られていますが、決してそうではありません。高い規律意識をprofess(公言)する、厳しい生き方なのです。

しかしながら、先生は単に一人ひとりに厳しさを求めている訳ではありません。ポジティブ心理学に基づき、技術者のWell-beingとは何か?考えることを提唱し、その具体的向上方法についても提案されています。ここでは、その考え方の中核となるPERMAHモデルを紹介しましょう。

これはポジティブ心理学の父と言われる、Martin Seligman 博士が提案している、主観的幸福度を測る尺度です。23の質問に対し、0~10の11段階で答えることで幸福度を測定します。回答は以下に示す6つに分類されます。財産をいくら持っているとか、既婚/未婚の別、どんな場所に住んでいるとか、そういったものを問う訳でなく、仕事のやりがいや、人間関係に関する満足度を問うものです。

英語の頭文字をとって、PERMAHモデルと呼ばれます1。詳細は表中に明記したので割愛しますが、6項目について定点観測し”介入”すると、幸福度を上げることが出来ます。ここで言う”介入”とは、何かの意図を持って自ら行動変容することであり、各項目について具体的な処方箋が提案されています(具体的な方法は別記事で紹介します)。

この観点で見ると、一見バラバラに見える技術者のWell-beingは、以下のようなイメージで示せると、私は考えています。

まず先に述べた志向倫理的な知識・判断能力をベースとし、「社会に貢献できる意味ある(M)テーマにポジティブ(P)に取り組むこと」が重要です。次に重要なことは、「技術開発・研究に没頭(E)すること」であり、目標を達成(A)することです。この流れの中で、良い人間関係(R)を築き、身心ともに健康(H)であれば、技術者は幸せなのです。

すなわち技術系部署において、技術者により良く働いてもらいたいのなら、これらPERMAHの観点で施策を講じていけば良いのです。当然のことながら、各社各部門で打つべき具体的な施策は異なります。ご相談に応じますので、ぜひお問合せ下さい。□

  1. Hを省略してPERMAモデルと呼ぶことがあります。また23問の質問に答えると、N : ネガティブ度、Lonely : 孤独感、Happy : 総合的幸福度も数値化されます。 ↩︎
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